抜糸が終わり、やっと身体を自由に動かすことができるようになって、壁を伝って歩く練習を始めました。
まず驚いたことは、まっすぐ立てないことでした。それと重力方向の感覚が変調をきたしていて、身体が鉛のように重いことです。自分の身体が斜めになっていても気が付かずに倒れてしまうこともありました。自身の姿勢をコントロールすることもできず、跳躍することなど不可能な状態でした。道を歩いていて、小さな水溜まりを跳び越すことができるようになったのは、手術後3年程だったと記憶しています。約10年経った今でも朝起きると身体が重いと感じています。それから実際には無いものが見えることも時々あります。
抜糸が終わると外科ではリハビリ以外にすることもなく、一日ボーっとしているだけですので、退院させてもらうようにお願いしました。しかし、手術中の大量失血のためHbが低下しており退院はまだ危険だということで、しばらくは入院しておりましたが、無駄に医療費を発生させることに抵抗がありましたので、無理を言って退院させてもらいました。自宅には手すりなどの設備に少し手を入れてあったので、幸いなことに車椅子の世話にはならずに生活ができる状態でした。しかし、無いはずのものが見える状況に変わりはなく、また、組織診もまだ出ておらず確定診断になっていなかったので、余命30ヶ月の宣告が重く圧し掛かっておりました。