白黒ウサギのアレンの
その震えた小さなマグカップが
長い長い帰り道で雨にさらされて
こぼさないようにと小走りで
なみなみと注がれた悲しみや虚しさに気を付けて
ようやっと家に辿り着いたところで
最後の一滴の要らない言葉をつい落として溢れさせたのは
茶色いウサギのエリオット。
煉瓦の家で帰りを待っていた君もまた
なみなみと注がれたマグカップをいくつも隠していた。
君にコーヒーをいれよう。
一緒に眠れなくなろう。
そう言って一緒に有り余るお湯を温めた。
◆
太陽の光は八分二十秒かけて地球に届くらしい。
少し前に描き上げた物語の編集が終わったそうで、
絵が動くようになり、想像していた以上の仕上がりにしていただきました。
僕と同じ名前の、杉本戦車さんというアーティストの音楽にストーリーを添えました。
壊れて捨てられた手品師ロボットを助けた少女。
そこに空から降りてきた魔法使い達。
言葉のない短い物語。
誰かに関わる作品はいつも緊張して肩に力が入ってしまうけど
どうぞご覧ください。
◆
最近描いたのは遠い未来のロボットの物語。
一番置きたかったのは「せめてあと一週間、」のセリフ。
お元気ですか。
遠くから時々覗いていると信じて
しばらく会えない友達や昔の仲間たちに
僕はそれなりに元気です。という一方通信。
怪物と戦う者の顔もまた怪物のようにならぬようにとは
聞き慣れ過ぎた言葉だけど
近頃の僕たちは一体何と戦っているのでしょうな。
ともあれ
人間でも怪物でも
あなたがあなたであるようにと願う近頃です。