「羊飼いは羊の言葉を聞くことなく、それでも羊飼いでした。
いつから羊飼いだったのかも忘れてしまったけれど
気付けば羊飼いと呼ばれ、誰も彼を羊飼いではないと思いませんでした。
羊が好きで、羊のことをよく知っていて、
と勝手に人々からはそう思われていましたが、
それが真実かどうかは彼自身にもよく分かりませんでした。
一度も羊の話を聞いたことはありませんでした。
羊の皮をかぶっていた少年は、いつしか羊になっていました。
そして話の分かる羊飼いが来るのを、羊たちとともに待っていました。」
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戦って走ってきた人がある日、迷って立ち止まった時のなにか人間味のような美しさは、
ただずっと迷い続けている憂いのそれとはすり替えられないなあと考えながら
さっき紅茶を買ったセブンイレブンの屋根を10分後には見下ろすような坂道を歩いていた日、
どうしてここまで歩いたんだっけと振り返ったら黒猫が寄ってきて、
それじゃあまあいいかと背中をなでた。
道端の知らないおばちゃんに野菜ジュースを貰ってまた道を登る。
畑ばかりが映る帰りの車窓から、勝てる試合に負けた日のことを思い出しながら
この景色にも飽きたなあと思いながら
作ってきたものがいろんな人に会わせてくれたことを思い返す。
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デザインフェスタ(5月12、13日)に参加します。東京ビッグサイト、一階のブース幅2mぐらいのC210で展示予定です。
昨年末の横浜の展示はしずかなミュージアムでしたが、今回は騒がしいところです。
そこにいたり、ぶらぶらしたり、しています。
気まぐれに遊びに来てください。
「誰もいない国の王様」