突然だけど、僕はアイドルというものを信用していない。ぜんぜん信用していない。

なぜなら、世のアイドルたちが売り物にしているものは「彼女たち自身」であって、それは笑いを売って商売にしているお笑い芸人であるとか、絵を売って商売にしている画家たちとは根本的に違うものだと思うのだ。いくらお金を積んでCDを買って、何百回握手会に通ったとしても、彼女たちが売ろうとしている「彼女たち自身」というものを僕たちは手に入れることができないのだ。そういう意味でアイドルというコンテンツは商売として成立していないと僕は思っている。あくまでも個人的な見解である。批判は受け付けません。

もちろん僕だって若い男だし、高校時代というものも一応経験してきたから、可愛いと思うアイドルや応援したいと思うアイドルの一人か二人くらいいなかったわけではない。だけど、どこかの人気アイドルがロクでもなさそうな男と手を繋いで歩いてたり、ホテルから出てくるところを週刊誌にスクープされているのをみると、「やっぱりアイドルなんて応援してなくてよかった。これからも応援しないようにしよう。」と胸を撫でろしてしまう(こんなこと言ってると怒られそうだけど)。こうして僕の社会不適合者としての性質がまた一つ深まっていく。そもそも、大人が若い女の恋愛を阻止することなんて不可能なのだ。ハロプロの元社長も「アイドルのセックスは止められない」という名言を残したらしい。僕もまったく同意見である。

 

僕はオードリーのオールナイトニッポンを約十年間欠かさずに聴き続けている生粋のリトルトゥース(リスナー)だ。前述のような考えがあったから、オードリーの二人が今年の春からアイドルの番組のMCを担当することになると聞いた時は、正直うんざりした気持ちになった。僕はオードリーが出演する番組はできる限りチェックしたいと思っていたけど、アイドルの番組を見るつもりはなかった。

番組が始まって以降も、僕は一度もその番組を見ることがなかったのだけれど、ここのところ、オードリーの二人がラジオの中で、とても楽しそうにそのアイドルたち(ひらがなけやき というグループ)の話をするものだから、「仕方ねえなあ」という感じでこの前の放送を観てみた。

 

で、結果から言うと、ものすごくハマった。めちゃめちゃ面白かった。

メンバーがみんな可愛いと言うことは言うまでもないことだけど、普段見てるお笑い番組と違って、プロの芸人が出ているわけじゃないから、予想できない角度から事件が起きたりする。バラエティに慣れてないなりにメンバー全員でなんとか番組を成立させようとする姿に、「なるほどこれは応援したくなるのもわかる」と素直に思った。プロのタレントとしてメンバーを見ると、もちろん全然未熟な女の子たちなのだけれど、普通の女の子だと思って見ていると「やっぱりアイドルなんだな」と感心するような個性をみんなが持っている。そして笑いながら見ているうちに気づけばメンバー全員の個性を把握している。これはひとえに若林のMCとしての実力によって、メンバーの個性が最大限に引き出されているからだと思う。若林すげえよ...。いつの間にこんなに実力つけてたんだろう。根っからの若林推しの僕としてはたまらない番組構成だった。もちろん春日も体張ってます。

 

メンバーはみんな魅力的なのだけれど、中でも僕は「齊藤京子」と言う多分一番人気のエース(?)の子が、すごくいいと思った。この人は一見、華奢で清純派っぽい女の子なのだけれど、山口百恵ばりに男前な声で毒を吐いたり、クイズで15歳の子と最下位争いをしたり、料理の企画であまりにもひどくてカットされたり、いろんなキャラクターが乗っかりすぎていてメイプル超合金に入れそうだ。気が強くて少し大人をナメていそうなところもあるので、別に僕の好きなタイプの女性ではないのだけれど、歌を歌うと一瞬で心を掴まれる、と思う。

彼女の歌い方は他のメンバーとはちょっと違っていて、低めの声で大人っぽいような歌い方をする。もともとは中森明菜が好きらしく、歌手になりたいと言って芸能界に入ってきたらしい。僕個人的にはばりばりの聖子ちゃん派なので、正直中森明菜はあんまり聞いたことがないのだけれど、そうやって先輩アイドルをリスペクトして、自分がなりたいと思う姿をはっきりと持っていることは素直にカッコいいと思った。彼女が中森明菜について語る姿を見ながら、何かに対して強い憧れを持って飛び込んでくるという意味では、芸人も小説家もプロレスラーもアイドルも同じなんだなと思った。他のメンバーを見ると「可愛くて癒される」と思うのだけれど、齊藤京子を見ていると「俺も自分の好きなことを頑張らなきゃな」と思って、何かしら前向きにさせる力がある。それは中森明菜とか松田聖子というスーパーアイドルも持っていた力なのかもしれない。

そういうわけで、僕は初めてアイドルというものを応援してみようかなという気持ちになった。齊藤京子さんには自分がかっこいいと思うスタイルを貫いて欲しい。すぐにウケなかったとしても、自分の理想を貫ける説得力が彼女にはあると思うんだけど、どうでしょうか。

 

でも、齊藤京子が本当に明菜みたいになるんだとしたら、いつかは人気男性歌手(近藤真彦みたいな)と週刊誌に撮られる日が来るんだろうなぁ。そう思うと今からすでにうんざりしてくる。でもそういうこともスーパーアイドルには必要なことなのかもしれないね。まぁ、アイドルの恋人が誰であろうが僕には関係のないことさ。ラーメン食べて寝よう。おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

となりにすわる 恋人たちには 

 

目もくれずたべる

 

わたしはわたしの ラーメンたべる 

 

責任もってたべる

 

 

矢野顕子 / ラーメンたべたい