ネットで雪斎の銘写真を検索したところ、
いくつかの写真が出てきました。
私の雪斎根付の銘とよく似たものがあったり、違うものがあったりで
なかなか確証がつかめません。
下の写真は、BonhamsのHPで見つけたもので、
A wood netsuke of a broken lotus leaf
By Hokkyo Shima Sessai, Echizen, 19th century
と書かれていました。
銘は雪斎刀と彫られています。
私の根付の銘とよく似た感じです。
下の写真もネットで見つけたものです。
これも私の銘に似ていますが、三国住雪斎と彫られています。
海外のオークションハウスのHPにあったものですが、
説明文は以下のようでした。
WOOD NETSUKE By Mikuni Sessai. In The Form Of A Frog Resting On A Lotus Leaf. Inlaid Eyes. Signed "Mikuni Saku Sessai.
MIkuni Saku Sessaiは明かに読み間違いで、Mikuni Ju Sessaiと
読むのが正しいでしょう。
上田令吉著「根付の研究」の記述を再度見てみます。
雪斎
島と称し、越前三国の人なり。
越前候に仕え、法橋となる。彫刻に巧みにして、蛇を得意とす。
明治十二三年頃、五十九歳を以て歿す。
(彫銘、雪斎或いは法橋雪斎)
江戸末期から明治初期の人で、越前三国に住んでいた書かれています。
想像するに、銘はいくつか種類があったのではないでしょうか?
具体的には雪斎、雪斎刀、三国住雪斎、法橋雪斎などです。
またネットで出てきた「三国木彫を支えた人々 島雪斎図録」という
昭和52年に福井市立郷土歴史博物館が発刊した図録を見ると、
雪斎は三国木彫の人で、欄間、木鼻、蟇股など建築物の装飾製作が主で、時に根付も彫っていたということが書かれていました。
以下は同図録に掲載されていた三国木彫の系譜です。
(島家)雪斎とあり、二人の子供がいたようです。
また志摩家の乗時(初代竜斎)に師事したようです。
ここで決定的な情報をもたらしてくれた方がいます。
先日の京都アンティークフェアで知り合った根付に造詣の深い方です。
この方から、雪斎銘の蛙根付の写真をいただくことになりました。
その方が送ってくれた写真ですが、富山佐藤美術館の図録です。
その中に法橋雪斎銘の「釣瓶に蝦蟇」がありました。
蛙意匠の根付が雪斎の銘で存在したことが確認でき、法橋雪斎の銘も
私の根付に非常によく似ています。
当初の2つの課題がこれで一挙に解決しました。
この方には本当に感謝しかありません。
自分の持っているコレクションが一体どういった物なのか?
これを調べるのがコレクターの楽しみの1つですが、今回も
色々と多くの学びがありました。