4月某所。僕は小学生になった。


せかせかと朝から化粧をする母親。

「早く食べたら洋服着替えなさい。!」


弟の優が邪魔をしてくる。

「触るな。」嫌いでも嫉妬でもないが、好きでも嫌いでもない。


「お兄ちゃんなんだし、これから小学生になるんだから、弟にも優しくしなさい。」と母親は言う。


朝からうるさい小言ばかりで、嫌になる。



母親と歩きたくないから、走って小学校に向かった。



適当に入学式を終え、1年3組のクラスに行くと、真新しい教科書が机に置かれていた。


席に着くと、隣のやつが話しかけてきた。


「俺、慎平って言うんだ!よろしくな。お前の名前はなんていうの?」


「ぼ・・・く・・。俺は、亮って言うんだ、よろしく。」

初めて自分を俺って呼ぶことに恥ずかしさを感じた。


「亮かぁ、じゃぁ、俺達もう友達だな。(笑)」


「おう!」

なんだか、久しぶりに嬉しさがこみあげた。


今日から僕とは言わず、俺!って言うことに決めた。

いよいよ5年間通った保育園生活が終わる。


長かったようで短くも思う。



「亮くん、どこに行ってたの?」と田所美幸。


別にどこだっていいだろう。実を言うと苦手な女。



ぶりっ子が激しく、自分より弱い子に上から目線。

この間も1つ年下の子が保育園の外に出てしまった時、「ねぇ、何勝手にでてるの?出ちゃいけないでしょ?」と嫌みぽく言っていた。

「ねぇ?聞いてるの?馬鹿みたい。」と怒っていた。


子も子なら母親も母親だ。


「話聞いてないんじゃないの?」と鼻でふんと笑い馬鹿にした様子。


こんな親子にはなりたくないと心から思った。



そんな田所美幸は、何故か付きまとってくる。



「亮くん~二人で写真撮ろうよ。」といい腕を組む。

その光景を見て、喜ぶ母親たち。


早く終わらないかと、時計と何度も睨めっこしていた。

ママから赤っちゃんが生まれた。


みんな弟の優ばかり可愛がる。親戚も「弟はこんなにかわいいのに、お兄さんは挨拶もできないのね。」


嫌味なおば様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「亮は不器用で恥ずかしがり屋だから仕方ないのよ。」とママ。


どうして勝手に決めつけるんだ。

ママは僕の何を知っているのさ!ここの場所に居たくない・・・・。



また優が泣く。

「あらあら、どうしたの~。」


まったく、タイミングがいいのか悪いのか。


つづく。