　5月23日火曜日。５時半起床。睡眠時間５時間42分。今日の快適度非常に良い。曇天、夜半は雨だったようで地面が黒い。

　５時45分病院敷地内を散歩しようとエレベーターを待っていると看護師に呼び止められる。６時にならなければダメ、ルールですからという。１階の自販機でコーヒーを飲みたかったがそれも６時にならなければ許されない。。

　６時、１階ラウンジの、毎晩読書する椅子に座ってカフェオレを楽しむ。顔見知りになった守衛さんと挨拶を交わす。それとは見えないが雨が降っているようだ。外を歩けなくて残念。

　朝一番の１回目のリハビリが40分と短かったので終了後風呂に直通。誰もいない風呂につかりながら、湯の中で左腕を動かす。肩の筋肉が確実についていると実感する。

　明日Ｋ子が面会に来てくれるという。面会時間は午後2時から４時まで、15分間と決まっている。リハビリが２時からのと４時からのが予定に組まれており、3時台の面会予約をしに事務所へ行くと、3時台は予約で埋まっているという。どうにかならないかとねばると、リハビリの時間をずらしてもらえることになり、午後2時に面会が叶うことになった。

　午前中は蒲原有明、萩原朔太郎、薄田泣菫を読む。

　小雨が降っている。湿気の多い涼しい風が気持ちよさそうだ。Ｋ子が、山椒薔薇が咲いた、と写真を送ってきた。山椒薔薇の開花期間はせいぜい１週間だから、退院して家にもどるころには散っているだろう。

　ふと考えた。入院後、手術をして麻酔でぼんやりしていた２、３日を除き読書を続けてきたが、自然の移り変わり、天候の変化を感じながら読書ができなかったのは残念だ。もちろん、4階の病室の窓からも山々の緑が日々濃くなっていくのが見られたし、晴れの日曇りの日、そして今日のような雨の日もあり、細く開けられた窓から風も吹き込み、自然や天候から隔絶した生活をしているわけではない。ときには病院の敷地内限定だが外を歩くこともできる。しかし、読書しているときに、ふとページから目を離すと、木々が風にそよいでいたり、庭の花々に陽が照り映えていたりが目に止まったり、また、読書に倦み疲れたり、感動のあまりページを開いたまま読書を中断して立ち上がり、庭に出て空を仰ぎ見たりすれば、読書はより深く体に染みるだろう。

入院92日目（転院61日目）〜読書はより深く体に染みるだろう