　おだやかな日が続いている。世はとかくかしましく、いたるところに角が立っているようだが、背を向けていればおだやかだ、

　起きるとＫ子はもうアルバイトに行っている。簡単に朝食をすませて、吉田秀和を読む。サン＝サーンスのピアノ協奏曲第３番についての文章があったので曲を聴きながら読む。サン＝サーンスの協奏曲は初めてではないが、ながら族でいい加減に聞いていたようだ。ピアノ協奏曲第３番は明るく華やかでよい曲だと知れた。

　正午すぎにＫ子が帰る。イチゴ摘みから苗の植えつけに仕事の内容が変わり慣れないので疲れたようだ。家に入るなり「腹減ったー」と叫ぶ。売り物にならぬ小さなイチゴを一箱もらってきた。

　昼は和風パスタにした。

　食後ソファでくつろいでいたＫ子が、来年の夏はアキラくん（孫）を連れてカブトムシとりに行くんだ、という。アルバイト仲間にＫ子と誕生日が１日ちがいの女性がいて、清里方面に住んでいるらしいが、カブトムシのいる森を教えてくれたのだという。

　ぼくも一度無数のカブトムシが一本の木に群がっているのを見かけたことがあり、アキラくんを連れて行きたいと思っていたが、ぼくはたった一度目撃しただけであり、清里の森の方が可能性が高そうだ。

　今日は歩いていないと思っていたら、彼岸花見に行ったらとＫ子が勧めてくれた。時期を逸したと思ったが、花水の清泰寺へ行ってみることにした。

　橡の実が落ちている急な石段を登る。並んでいる石仏が埋まるほど咲いている彼岸花を期待していたが、もうほとんど終わりかけていた。少し先残ってるのがかえってわびしかった。

　目的をウォーキングに変える。釜無川に沿って上流に向かって歩く。脚の調子はまあまあのようだ。黄色の稲がきれいだ。南アルプスの山々は濃い灰色の雲に包まれている。川にはいつものように白鷺がいる。対岸に渡れる橋のところまで行き引き返す。いい汗をかいた。3000歩ほど歩いた。

　帰宅後ソファに腰を下ろすとたちまちうたた寝。目を覚ましぼんやりしていると、腹空いたーとＫ子が叫ぶ。時刻は6時。わが家の夕食は７時過ぎなのでまだ早い。彼女が風呂に入る。続いてぼくも入り、出てから夕食の準備をする。

　YouTube musicでミルシュタインが弾くサン＝サーンスのヴァイオリン協奏曲を聴く。これまた名曲だった。

サン＝サーンスはいいな。（Sep. 28, 2022）