今日はラフカディオ・ハーン、小泉八雲の誕生日だ。八雲については、今年最初の文学講座で取り上げたことがあり、作品をだいぶ読んだ。そこで今日はハーンがフランス語から英訳したThéophile Gautier, 'The Mummy’s Foot'を読むことにした。ゴーチェの翻訳と言えば、青空文庫に芥川龍之介訳と岡本綺堂訳の「クラリモンド」がある。「クラリモンド」はハーンも英訳しているはずだが、「ミイラの足」を読む。昔、エジプトを舞台とした小説を読んだが、ゴーチェには東洋趣味があったにちがいなく、それに幻想性が加わり読み応えがある。さすがにこの手の作品はハーンの薬籠中のもので翻訳も流麗だ。
リーはブリテン島南西部グロスターシャーのストラッドでの子供時代を詩的にノスタルジックに書いた自伝的作品Cider with Rosie(三部作の第一作)やAs I Walked Out One Midsummer Morning(第二作)で知られるが、YouTubeに朗読がかなりあることからその人気の程が知れる。読んでみたいと強く思った。しかしAmazonにはあるがペーパーバックにしても高価だし、取り寄せても今日読めるわけではない。YouTubeの朗読を録音して文字起こしができればと思ったができない。ようやくInternetArchiveというサイトで借りるという形でiPadで読めることになり喜んだが、国会図書館が古書をスキャンしたような形なので読みにくいったらない。数ページ読んで目が疲れたので読むのをやめた。しかし、すばらしい書き出しだった。村に一家で引っ越してきた日、3歳の主人公は丈高い草の茂みにおいていかれるが、幼児の視点で細かく書かれた草の中の描写が強い印象を残す。いつかきっと本を購入して読もう。
それにしても、Cider with Rosieというタイトルがよい。英語を勉強していたときに'cider'がサイダーではなくりんご酒だと知ったときの軽い驚きを覚えている。rosieという名前もかわいい。2作目のAs I Walked Out One Midsummer Morningというタイトルもよい。この本を持って夏の早朝散歩に出たい。本の内容は青年になった主人公が村を去ってロンドン、さらにスペインにわたり旅回りのヴァイオリン弾きのようなことをしていたが、やがてスペイン市民戦争が勃発して······という話らしいから、早朝散歩も読書もタダではすみそうにないけれども。
今日はジョージ・オーウェルの誕生日である。Bookshop MemoriesとYou and the Atomic Bombの2篇を読む。前者はロンドンの古書店でのアルバイト体験をもとにしたエッセイで、さまざまな客の話、男女それぞれの読書傾向のちがい、19世紀の小説家が古いと敬遠されがちなこと、短編小説が好まれないことなどがユーモアに富んだ文章で綴られる。本屋で仕事をして以来本を買わなくなったという。
後者は1945年に発表されたエッセイだが、いわゆる冷戦時代と言われるようになる前に'cold war'という言葉を使っているオーウェルの慧眼には恐れ入る。エッセイの最後は'peace that is no peace'.という言葉で結ばれるが、米ソが原爆を所有したらまさに「平和のない平和」(「冷戦」)になるしかないわけだ。武器が銃などであれば個人が国家権力と戦えるが、原爆という武器はは金持ち国家とか独裁国家しか持ちえず、個人は吹き飛ばされるだけだ。オーウェルの現状認識、未来予測の射程は戦争が終わって80年経つ現在まで届き、悲しいことに、100年後、200年後にも届くのではないか。