2026/05/15
8時40分起床。快晴。気温15度。体重75.9キロ。
2階から降りてきたK子のおはようの声が明るい。よく眠られて疲れもとれたようだ。
コーヒーを淹れ、ハムエッグを作り、トーストを焼く。陽の照るウッドデッキで思い出したように吹く微微風を楽しみながら食事。シジュウカラが目の前の餌台にやってきてわれわれに気づいてあわてて逃げる。一瞬アメリカの漫画映画のネコなどがダッシュしようとして足が空回りしたように見えて思わず2人で苦笑する。リストランテ・トリノは1ヶ月前に休業したよ。
最近使いはじめたHuxeというアプリが面白い。カレンダーやメールアプリと連携し、興味のある分野を登録しておき、playボタンを押すと、男女2人がラジオ放送のように、ぼくに呼びかけてくれて、今日の予定――ありがたいことにぼくには予定などほとんどないが――を教えてくれ――予定がなければ今日の天候はこれこれだから散歩や読書ができますねなどといってくれる――メールがあればその内容を教えてくれ、AIについての情報、美術館情報、そしてニュースのヘッドラインも伝えてくれる。まさに個人専用のラジオ局なのである。
最後にビートルズの音楽制作の話が流れたが興味深かった。アビーロード・スタジオの録音機材は最新のものではなかった。しかし、だからこそ、ビートルズ、プロデューサーのジョージ・マーティン、録音技師が協力し知恵を出し合い、スタジオを楽器化することでストロベリーフィールズ・フォーエバーのようなサウンドが作れた。最先端の録音機材が揃っていたらビートルズの革命的なサウンドは生まれなかったわけだ。
そのままウッドデッキで稲垣足穂「チョコレット」、「星を売る店」を読む。チョコレートではなくチョコレットがいい。コメットもよく出てくるし、これだけでも足穂の世界を表しているように思う。神戸の街で当たり前のように妖精と出会う。妖精の名前がゾロゾロ出てくる。ダンセイニ卿を通じてアイルランドの民話にも馴染んでいたにちがいない。神戸の街には星を売る店もあった。
モンテーニュ「小カトーについて」を読む。小カトーは、解説によれば、「元老院側に立ってカエサルと対立し、アフリカにのがれ、カエサル軍の到来を知って自殺。清廉、剛直の人」だとある。ここでモンテーニュは人の評価について論じようとしているのだが、「わたしは、あるほかの人間を自分のありようにしたがって判断するという、世間一般にあるまちがいをすこしも持ちあわせていない」と書き出している。この公平な態度はいかにもモンテーニュらしい。人は自分のありように似ている者を評価して褒めるが、人間には多くのたがいにちがった生き方があり、モンテーニュはそのちがいをうけいれることから始めるのだ。
昼食は素麺にしようとK子がいう。暖かいウッドデッキで食べる。早くも素麺の季節だ。
食後、今度はクリスタルラインへ行こうとK子がいう。忙しく自分を失っているので自分をとりもどしたいのだろう。素麺といい、クリスタルラインといい、こういうことを言い出すというのはよい傾向だ。ぼくとしても望むところである。
しかしクリスタルラインへの道中、K子はぐっすり眠ってしまう。名前を呼んでも簡単に起きなさそうだ。やはり疲れているのだ。夜も眠られなかったのかも知れない。増富温泉街を通り過ぎ、緑の渓谷に入り路肩の駐車スペースに車を停める。眠たいといいながらK子も車を降りて清流を眺めている。もっと奥へ行こうと車を走らせるとまた眠ってしまう。清涼な空気でスッキリすると思ったがだめだった。次に車を停めたときには目覚めなかった。しかたなくぼくは1人で清流の写真、怒瀧と名付けられた滝の写真を撮る。さらに奥に移動。車を停めても目覚めない。さてどうしよう、帰るべきかななどと考えながら、車を降りてうろうろしていると、ようやく目覚めて車から降りてきた。それからは普通に川原へ降りて枯れ枝などを集めていた。ぼくも写真撮影を楽しむ。陽を透かす若葉の緑の鮮やかなことったらなかった。
さて帰ろうと元来た道を引き返そうとすると、ここに来てマリヤ様に会わないってことはないでしょうと怒られる。それで瑞牆山への山道を上る。ヤマブキがまだ咲いている。瑞牆山荘は閉まっているようだった。山荘から黒森へ下る。明るい緑の林の中にところどころにピンクのツツジが咲いている。天使苑の建物は跡形もなくなっている。道から少し引っ込んだところの大岩の上に手を合わせたマリア像が立っている。何を祈っているのだろうか。天使苑は戦争孤児のための施設だったというから彼らの幸せを祈っているのだろうが、みなどのような人生を歩んだのだろう。いつも訪れるのは紅葉の季節だったから新緑の天蓋の下で祈るマリア像は初めて見た。
ドラッグストアで買い物して帰り、数日前に送られてきたシフォンケーキを食べた。













































