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90歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

風景写真に魅せられた後期高齢者が、時には車中泊を織り交ぜながら撮影を楽しむ様子です。
                       
                       








                        

  ロケハンの旅~池ケ原湿原へ

 

 岐阜県飛騨市に池ケ原湿原という湿地帯がある。

 

 初夏になると、この湿原に水芭蕉が咲いたというニュースを新聞テレビでよく見るんじゃ。

 

 わしゃあこの湿原があることを2、3年前まで知らなかったわい。

 

 第一、飛騨市へさえ行ったことがないからのう。

 

 一度行ってみたいと大分前から思ってはいたのじゃが、遠距離じゃから、高齢者となってしまった今となっては一泊では無理だと思ってあきらめていたのじゃ。

 

 実は大分前から、新しい撮影地を捜していたのじゃがなかなか見つからず困り果てていてのう。

 

 そんな時にふとこの湿原のことを思い出し、2、3泊するつもりで行けば何とかなるじゃろうと、とうとうここへ出かけたんじゃ。

 

 ただし今はシーズンオフじゃからのう。

 

 水芭蕉なんぞ咲いていないのは分かりきっているのじゃが、どんなところなのか雰囲気だけでも味わいたいと思ったのじゃ。

 

 それに今なら混み合うこともないじゃろうしのう。情報によると、シーズンにはバスツアーまであるという話じゃぞえ。

 

 

 さて当日。

 

 カーナビを頼りに幹線道路から脇道へ逸れ、林道をどんどん登って行った。

 

 車はもちろん人影なぞさらさらない一本道がしばらく続く。

 

 やっと着いたぞえ。

 人影はないが軽トラが一台停まっている。

 

 

 カメラ機材を抱えて入り口へ向かうと、いきなりこんな看板じゃ。

 これにはちょいとビビってしまったわい。

 

 誰一人いない山の中でこんな看板を見せられてはのう。

 

 ところが…

 

 静まり返った湿原の奥の方から二輪車に枯れ草を積んだ若者が現れたのじゃ。停まっていた軽トラの主か。

 

 天の助けじゃ!

 

 「熊は大丈夫ですかいのう」と聞くワシ。

 

 「今日は大丈夫ですよ」

 

 シーズンに備えて湿原を整備しているらしい若者は笑いながら答えてくれた。

 

 やれやれ。うれしい言葉をいただいたわい。

 

 それでは勇躍出発じゃ。

 

 この立て看板も今の季節には関係ないわい。

 

 

 森の中の小径をたどって行く。

 

 小さな橋を渡って行くと…

 

 なんじゃ、これは?

 なるほど!

 

 この空缶をたたいて、熊に人間様が来たことを知らせるんじゃのう(多分)。

 

 

 ほほう。こういうところか。

 ここに水芭蕉が咲けば、行ったことはないが尾瀬を小型化したような雰囲気になるのじゃろうのう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日のところは雰囲気さえわかればいいんじゃ。ロケハンのつもりじゃからな。

 

 初夏の季節に機会があればまた来るとしようか。

 

 では帰ろうかのう。

 

 と一旦は思ったのじゃが、しかしいくら何でもこのまま帰るのも詰まらんわい。

 

 せっかくここまで来たんじゃ。明日はもうちょいとばかりあちらこちらを経巡って新しい撮影地を捜してみたいもんじゃ。

 

 では今夜のところはこの広い駐車場を独り占めして泊まるとしようかのう。

 

つづく