黄昏れ時の贈り物
無断転用禁止
今日は海辺の夕景でも撮りたいと思ってのう。
早速出かけたのじゃよ。
ところが目的地へ行く途中で寄り道をしてしまうという、いつもの悪い癖が首をもたげてきてのう。
夕ぐれまでにはまだ間があるからと、あらぬ方向へハンドルを切ってしまったのじゃわい。
ここは知る人ぞ知る有名な棚田でのう。
毎年、田植え前後の明け方にはずらりと三脚が立ち並ぶのじゃ。
しかし今は真っ昼間の、しかも曇り空とあって、人影はほとんど見当たらぬ。
こういう棚田はカメラマンや観光客にとっては格好のビューポイントじゃが、管理する衆は大変じゃろうのう。
何しろ段々畑で、その上狭くて複雑な形をしているからのう。
ほとんど昔ながらの人力に頼るしか仕方がないじゃろうて。
様子を見には来たものの、こんな時間帯ではやっぱり面白くないわい。
明け方なら朝焼けに染まる水田や、朝霧の立ち込める光景が見られるかもしれないのじゃがのう。
今日のところはここの撮影は中止して、本来の目的地の海岸へ向かうとするか。
なに? 今から海岸端へ行くって?
自分勝手にこんな山里へ来てしまって、今から夕ぐれまでに海辺に行けるはずはないではないかえ!😫
その通りじゃ😭
結局、この日は途中の山中で車中泊を余儀なくされたのじゃ。
まったく無駄な時間を費やしてしまったものじゃわい😫
☆
あくる日となった。
夕方までに間に合うようにと、年寄りとしてはかなりの長時間運転を続け、やっと日本海の岸辺へやって来たのじゃが、空はあいにくの曇り空。
待てど暮らせど一向に晴れ間が見えない。
今にも雨が降り出しそうな暗雲に覆われてしまったままじゃ。
これではとてもお天道様なぞお目に掛かれそうもないわい。
仕方がない。
この日はとうとうあきらめて、車中泊をするために付近の小さな道の駅へやって来たのじゃ。
そろそろコンビニ弁当を肴に一杯やろうかなどと思いながら何気なく外を眺めたその時…
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😲や、や、や?![]()
虹じゃ!
すぐ目の前に大きな弧を描いて鮮やかな虹が架かっているではないかえ。
だが、寄りによってこんな人工物満艦飾の場所に出現しても作品作りなぞ出来るはずもない。
しかしこの場に及んで愚痴って見ても詮無いことじゃからのう。
もう理屈なしに目くらめっぽうシャッターを切りまくるだけじゃ。
見よ! このすらりとしたカメラマン姿のワシの影を!
広角レンズの効果絶大じゃぁ~。
そんな冗談言っている場合ではないわえ😠
ちょいとでもマシな撮影ポイントはないものかとキョロキョロすると、道路を挟んだ向こう側に田んぼが見えた。
慌てて、と言っても他人さまから見ればヨタヨタと、道路を横切って田んぼ側へたどり着いたわい。
こちら側へ来ても人工物があるにはあるが、道の駅側から撮影するよりはまだマシじゃ。
田植え直後の水田にも虹が映っている。
同じような画像ばかり続くがお許しくだされや。
モタモタしていると虹が消えてしまうからここから動けないのじゃよ。
人工物のない場所へ移動している暇なぞないわい。
本体の虹の外側にもうっすらと二重に虹が見える。
実像、虚像と合わせて円形の虹を撮りたいのじゃが、持ち合わせのレンズでは収まりきらぬのじゃ。
何しろすぐ目の前に架かっているから弧が大きすぎるのじゃわい。
架かった時ははっきりしていた色合いも、時間とともに徐々に色あせてきた。
やっと撮影を終えて後ろを振り返ると、黒雲の間からわずかにお天道様がお顔を出されていた。
しばらくすると、今まで真っ黒だった雲が徐々に深紅に染まってきたわい。
ここがもうちょいとマシな場所なら写欲も湧くのじゃが…
こんなに鉄塔がにょきにょき並んでいる所では何ともならぬ。
悔しいがあきらめるしかないわえ。
まあ、虹と出会えただけでもヨシとしなければのう。
撮影 6月7,9日
無断転用禁止




















