本日も見に来ていただき、ありがとうございます。
約20年前の話を書いています。
前回の続きです。
私とユキは保育園から小学校、中学校、高校まで一緒。3歳からの幼馴染。
22歳からは2人で共同生活するくらいの
大親友。
そんなユキが26歳の若さで乳癌になり、
左胸を全部切除した。
27歳のユキは、リハビリも頑張り、抗がん剤治療もやり、病気と闘っていた。
28歳、当時は同級生の結婚や出産ラッシュで
おめでたい事が続いていたので、
ユキも体調の良い時期は、友達の結婚式に参加したり、仲良しメンバーでお出かけしたり、体力もだいぶ戻ってきていた。
29歳、ユキは入院退院を繰り返しながらも、
前向きに頑張っていた。
当時の私は
仕事がとても忙しい時期で、
毎日朝早くから夜まで残業、
記憶が薄れるほど、ヘトヘトになりながら、日々の仕事をこなしていた。
そんなある日の夜、
残業を終わらせて家に帰ったら、
ちょうど電話が鳴った。
それは仲良しメンバーのひとりだった。
久しぶり〜!最近忙しくてさー今帰ってきたよー
と私が話し始めた時、
友達はとても低い声でこう言った。
落ち着いて聞きなよ。
ユキが亡くなった。
え⁈
ちょっと待って、
この前退院したばかりだよね?
と話したと思うが、
そこからの記憶がございません。
確か、その日の夜7時頃に息を引き取ったそうで。
ユキのお母さんから友達に連絡があったのだ。
つい、2週間前に
お元気?
私は退院したよー!
寒くて、なかなかやりたい事が
できましぇん。
旅行の件だけど、
体力的にまだ少し自信がないので、
今回はやめておくね。
もっと暖かくなったら、また遊びに行くよ♡
とハガキが届いたじゃないか。
え、ユキが亡くなったの?
それは本当なの?
亡くなるなんて覚悟、まだしてなかったんだけど。
ねぇ、そんな状態だったの⁈
信じられない。
そんなのいやだ。
電話を切って、私の身体は震えた。
震えたけど、涙は出ない。
本当に悲しいと涙は出ない
とはこれか⁈と思った。
電話の直後から、私のアパートに
なぜかお線香の香りが広がった。
特に玄関あたり。
私は霊感は強くないのだけれど、
ダメな気配とか、よくない場所には
なんか感じるというか。
エクトプラズムっていうの?
千と千尋の神隠しの オクサレ様の体から
薄暗いモヤみたいなのが出てるアレ、
ああいうのが見える
っていうか、感じる時があったんだけど、
この時は、その嫌な感覚ではなく、
お線香の香りだけ。
それが1時間くらい、私の家に漂っていた。
それはすごく記憶に残っている。
私は次の日の午後から、仕事の休みをもらい、数日間 実家に帰った。
実家に帰ると、当時まだ元気だったじいちゃんが泣いていた。
小さい頃から知っている、近所のユキちゃんが亡くなったこと、
そして大親友を亡くした私のことを思い、
つらいだろうと泣いていた。
そこに、ユキのお母さんから電話がかかってきた。
葬儀で私に弔辞を読んでほしい、との内容だった。
私なんて、とても弔辞は読めません、と断った。
けれど、お母さんは言った。
「ユキを見てると、あなたと一緒に2人暮らしをしていた時が、1番幸せそうだった。
だから、友人代表の弔辞は、ぜひあなたに読んでほしいのよ」
と言われ、お引き受けした。
私にとっては、人生で初めてのお葬式になる。
初めてのお葬式が、まさかの大親友ユキで、
そこで彼女への弔辞を読むことになろうとは、誰が想像しただろう。
でも私はまだ信じられなかった。
ユキは本当に亡くなってしまったのか。
本当だとしたら、たとえ動かなくてもいいから早くユキに会いたい。
この目で見るまで信じられない。
私だけが、現実を受け入れられないのか、
心が全くついていけなかった。
私は気持ちの整理がつかないまま、
弔辞を書いた。
次回に続きます。
重い話でごめんなさい。
今日も読んでくださって
ありがとうございました