こんばんは





最近はネタに困るとついついぷよクエネタに頼りがちですが、今日は『科捜研の女』のドラマ評ブログということで。






印象に残ったエピソードはブログでも気が向いたら書こうとは言ってたけど、随分、間が開いてしまったのはご勘弁を。





ということで今さら感もありますが、今回は2話『見えすぎた女』と4話『イケメン書道家殺人事件』について書いていこうと思います。既に放送済みですが思いっきりネタバレで書くので、ネタバレしたくない方はご注意ください。





この2エピソードはなんか佐村河内氏と新垣氏の"あの騒動"から着想を得たんじゃないのかというシナリオでちょっと興味を引いたんですが


とりあえずは大まかにストーリーを書いとかないといけないですよね。




『見えすぎた女』

"ストーリー"

主婦の久保美也子が自宅で刺殺体となって発見された。

発見者は美也子の夫で浮気相手と外泊を続け、2週間ぶりに帰宅した時だった。

マリコら科捜研のメンバーは現場で“ALS”ライトを当てて潜在指紋の有無を調べていたら、真っ白な壁に突如、美しい蝶の絵が浮かび上がった。その謎の絵は、紫外線を吸収し発光する物質を使って描かれたものだと推測され、警察がALSライトを使用することを想定した犯人からのメッセージの可能性がよぎる。

土門たちの捜査で、事件前日の夜、美也子が左大文字山を見上げて何かに驚愕する様子が、商店街の青果店の店主夫婦に目撃されていた。

一方、鑑定の結果、蝶の絵は蛍光増白剤入りの洗濯用洗剤の水溶液で描かれていたことが分かり、絵筆として使われたブラシも現場で見つかる。

絵は犯人からのメッセージなどではなく、被害者が自宅にあった道具で描いた可能性が高いことが判明。そこからマリコは美也子が、普通の人間には見えない紫外線を色としてとらえることができる“四色型色覚”、いわゆる“スーパービジョン”の持ち主ではないかと考えた。

手がかりを求め、スーパービジョンであることを公表している画家・司麗香を訪ねる。そこで美也子が麗香とも交流があったとわかった。

麗香と会ったことで自分のスーパービジョンを確信していた美也子は、事件前日に商店街で目撃したスーパービジョンの人間にしか見えない何かが左大文字山方面に発生し、美也子はそれに驚いたのではないかとマリコは推測。

しかし事件前日にも会っていた麗香はその日は特に気づいたことはないと話す。





"評"

ということでこのエピソードは"四色型色覚"が話の核となっているわけですが、そういうのがあることを今回初めて知りました。

こういう特殊な感覚を持ち合わせた人が絡む事件は、そこの部分の異色さの方が際立ってしまいがちですが、このエピソードは四色型色覚の特異さそのものは主張せずに、地道な捜査で分かった被害者の足取りから証拠(ドアノブの直線的に途切れた指紋など)に合致し事件に絡んでいる人物を特定する展開でなかなか凝っています。

『科捜研の女』は事件に関わっていた人物の証言から、新たな事実が分かり展開が変化していく過程も面白いですが、今回は被害者が見た何かも重要な手がかりで、それを暴く過程もなかなかよかったです。

そして、最も"佐村河内氏のあの騒動"を連想させたのは、スーパービジョンの美也子が見たものを麗香にも知らせたくて事件前日に会った際に、麗香がスーパービジョンのフリをしていたと発覚する展開。

身体的になにかがあると公表しているアーティスト活動をしている人物(あの騒動の場合は聴覚障害でニュアンスは異なりますが)がフリをしていた疑惑が浮上するというところは、何かしら着想を得ていると勘繰ってしまうものがあります。

あの騒動の場合は本人も認めてないので真相は分かりませんが、脚本家はもし成り済ましていた場合を想定してシナリオを書いていたんじゃないのかなと思ってしまいました。

ただフリをしていた本人を殺人の悪者として描くのは危ないと判断したのか、こちらは麗香のフリを美也子に見破られたのを目撃した麗香のマネージャーが世間の明るみに出る前に口封じで殺したという真相で

美也子も画家としての麗香に感銘を受けているので彼女の事実を口外しないと約束するし、自分のせいで美也子が死んだという罪悪感を感じていた麗香はスーパービジョンが嘘であったことを世間に公表するという結末で救い用のあるキャラになっていました。

ただ、このスーパービジョンの持ち主という偽物を仕立て上げた2人の人間が嘘を付き続けながら作品を発表しているという経緯と、良心が咎めた片方が結局、嘘を公表するというところもあの騒動っぽい部分があって興味深いものがあります。(このエピソードの場合、麗香が新垣氏の立場も兼任しているような感じか)



最後にキャストクレジットを見て、被害者の美也子役の柊瑠美という名前になんか見覚えがあったと思ったら『千と千尋の神隠し』の千尋の声の子なんですね、ってマリコさんと土門さんは『千と千尋の神隠し』の千尋の両親の声じゃないか!!!!!

しかも、『千と千尋の神隠し』は豚になった両親が食われないように娘が元に戻そうと奔走する展開でしたが、このエピソードは図らずも娘が殺された事件を両親が解決しているような対照的な展開となっているという、なかなか奇妙というか面白い構図。

柊さんのキャスティングがたまたまなのか、意図したものなのかは分かりませんが、意図したものだったら、キャスティングディレクターさんは天才だと思うし、偶然だとしても、かなり神懸かってます。

いずれにしてもグッジョブ。


ちなみに柊さんNHKの『ニャンちゅうワールド放送局』で3代目お姉さんを務めていたと知ってさらにビックリ。(前進番組の時のお姉さんが石川ひとみだったのは知ってるんだけどな)



柊さんのインパクトが大きすぎて影に隠れているけど麗香役の笛木優子さんは以前にも『科捜研の女』にゲスト出演していましたね。

今期はどういうわけか同じテレ朝の『相棒』の方にもゲスト出演していて、しかもあちらも芸術のアーティスト絡みの殺人事件というのが偶然とはいえ奇妙で面白いです。


本当は美也子の死体の第一発見者だった美術館の学芸員の佐藤志穂役の小橋めぐみは昔『ショムニ』とかでゲスト出演しているのを見ていましたが、さすがに歳を感じさせるようになりましたね。
まあ『ショムニ』のゲスト出演も99年かそこいらだったと記憶しているので、そりゃ歳もとるでしょうが。




『イケメン書道家殺人事件』


"ストーリー"

書道家の義本青流が撲殺された状態で自宅で発見される。

義本は現代アートのような書のスタイルで知られ、ハリウッド映画の題字を手がけるなど、人気のイケメン書道家であった。

マリコら科捜研のメンバーが現場検証すると、凶器は室内にあった壺であることが確定したが、指紋は拭き取られており、遺体のそばにはいびつに割れた墨のかけらがいくつも落ちていた。
また被害者が着用していた和服の胸には微量のファンデーションが付着していた他、室内から家畜用の飼料と思われる微物が採取された。

第一発見者は義本の作品管理をしているギャラリー経営者・城島美野里。

彼女の証言では死体発見の前日、新作の書が完成したから取りに来るようにと義本から連絡が入り、作品を撮影した画像がタブレットへ送られてきた。しかし、書斎にあるはずのその新作は跡形もなく消えており、義本の最後の作品を犯人が持ち去ったのはないかと推理される。

科捜研は義本の着衣に付着していたファンデーションを検証するために美野里や義本の一番弟子・水越涼香が使用しているファンデーションを調査するが被害者の着衣に付着していたものとは成分が異なっていた。

次に現場に散っていた墨のかけらをつなぎ合わせたところ、奈良にある椿乃堂が作る油煙墨だと判明する。

マリコは土門と共に奈良の椿乃堂を訪れ、椿乃堂の女性当主・椿千代子と会う。千代子は義本青流を清人くんと呼ぶ間柄の幼ななじみであった。

また事件現場にあった墨は「握り墨」で、義本青流が墨の製作途中で握って形を付けた物で、毎年訪問して椿乃堂で作っていた事も判明する。マリコは千代子に使用しているファンデーションを採取させてくれと頼むが、千代子は普段化粧はしていないと話し、採取は出来なかったが…。





"評"

このエピソードは『科捜研の女』らしく、現場の証拠と死体検案で判明した事実とが結び付き(今回の場合、現場に落ちてた家畜の飼料の微物と司法解剖で被害者がプリンを食べていたという事実)、さらに現場の物と合致するか照合するためにサンプルを貰うために赴いた先で被害者と結び付きのある人物が新たなに登場するなどの新事実が発覚という、二転三転する巧みさが冴えた展開で、新事実の発覚でさらに事件関係者の嫌疑が濃厚になっていく経緯が堪能できました。

事件の真相も、一回ミスリードに導いたファンデーションが別の形で伏線となるのも凝っています。

このエピソードであの騒動を彷彿とさせるのは間違いなく、義本青流がゴーストライターを使い作品を発表していたという部分でしょうか。

ただ、こちらもゴーストライターを使っていた義本青流がゴーストライターの事実を知った千代子の説得で純粋に書道を楽しんでいた少年時代を思い出して良心が咎め、ゴーストライターを使っていた事実の発表とゴーストだった蔵間武生の作品を正式に彼の作品として発表する決意を固め、弟子の涼香に迷惑がかからないように措置を考えていたという善人キャラになっていました。

2話も4話も興味深いのは、他者のアーティストしての才能に惚れ込み被害者が彼らの保身のための善意の行動を見せながらも、皮肉にも関係者の近しい人物(2話の場合は麗香のマネージャー、4話の場合は被害者の愛弟子)に殺されるという共通項があることでしょうか。

それにしても筆跡鑑定って書体がちゃんとしてないと鑑定できないということを初めて知りました。そうなると創作思考に書かれたデザイン文字の書体の判別ってなかなか難しいですね。


こちらのキャストで特筆すべき人というと、被害者の義本青流役の合田雅吏が5代目格さんの人ということぐらいでしょうか。









ということで、いまさら的なブログになりましたが今日は『科捜研の女』のドラマ評でした。