こんばんは










しばらく『刑事コロンボ』の感想ブログにかまけていたので、今日は久々に『もう誰も愛さない』の7話のブログです。









前回までは

いよいよ美幸の復讐が始まり、再び底辺に落とされた卓也と小百合は、玲子の策略で自分たちが異母兄妹であったことが嘘だと分かり、安堵したところで終わりました。




そして第7話は

美幸の復讐はまだまだ終わることはなく卓也たちを貶める訳ですが


その前哨として、美幸の家に忍び込んだ通が美幸と争う姿を見て

いよいよ美幸がレイプ犯に襲われた時の記憶を取り戻した弥生の証言を利用して、小百合を警察に逮捕させたり

亜紀に紹介してもらったガソリンスタンドの不当な解雇、その後に亜紀の口利きで観葉植物のリース会社の社長になった卓也を再度貶めるために

融資したリース会社を使って卓也の仕事を奪う等の妨害にでます。


しかし常軌を逸した美幸の復讐ぶりに心を痛めた弥生は証言を撤回し小百合を釈放させます。

そして小百合を迎えに行く卓也を何者かが(出で立ちは明らかに通だったけど)襲い

負傷した卓也は右半身不随となってしまい、美幸のもとで監禁という名の共同生活を送ることになるという展開で終わります。




次回予告では美幸によって2度も警察に逮捕させられ

復讐を誓った小百合が

計画を実行開始するような展開で、卓也も美幸への復讐に巻き込んでいる様子が覗えました。








今回の7話で気になったのは

警察の有り得ないような横暴な捜査描写でしょうか。


米倉を警察に連行させるためにわざとらしく公務執行妨害を装ったり

証言だけで状況証拠しかないのに、小百合に自供をさせようと髪を掴んで脅したり、生い立ちを罵倒するなど

時代性や元々刑事ドラマでもない素っ頓狂な展開のドラマという事を考慮してもこれは無理がありすぎる気がします。


正直、美幸から賄賂をもらった汚職警官だった設定を付け加えた方がしっくりくるぐらいなのに

弥生が証言を撤回した後での美幸との会話では、そんな様子でもないので余計に違和感を感じてしまいます。



しかもよく分からないのは

今回ドラマの序盤で、湖で見つかった男性の死体の殺人容疑で小百合が連行され

弥生の証言の撤回で釈放された際に

美幸が仮釈放されたばかりで小百合が暴力を奮えないという弱みを突く台詞を言うんですが


この場合、弥生の証言だけが頼りの取り調べで

その弥生が証言を撤回した以上

証拠不十分の釈放なのだから、小百合が仮釈放されたというニュアンスはおかしいように思います。(その前の会社の株の不正売買の容疑の事で仮釈放の件を言うのならわかりますが)


そもそも小百合が釈放される場所が刑務所なのも不自然で

罪状が確定していない場合は留置場じゃないのかと思うんですが、いずれにしても、この辺からシナリオにさらに歪みが生じてきているような気がしてなりません。






それにしても今回の美幸の執拗に卓也を貶める復讐ぶりは

もはや復讐に囚われた異常者ともいうべき精神の歪みっぷりで、見ていて気の毒になってきます。


思うに、美幸の遭った被害に対し誰も同情してくれなかったことが、彼女の復讐へのベクトルを加速させてしまっている気がします。


罪悪感を抱きながらも自分から贖罪をしに来るわけでもない卓也、

婚約者がレイプされたにも関わらず労る様子もなくレイプされて感じたのかという暴言を吐く通、

唯一の家族なのに加害者の卓也や小百合に肩入れしてしまう弥生、

美幸に想いを寄せている様子ながら美幸の受けた被害に対しては労るような言葉をかけていない林と


1人でも美幸を気にかけて復讐を制止するような行動を取っていれば、ここまで暴走はしなかったように思います。






それでは各登場人物の今回の詳細です





●沢村卓也
今回は美幸に徹底的に陥れられるポジションで

亜紀の紹介で働いていたガソリンスタンドも理不尽な解雇に遭い、その後、再び亜紀の口利きで観葉植物のリース会社の社長を任されますが(現実的に考えると絶対有り得ないような話の運び方だけど)

それすらも妨害されるなど不幸が続きます。


また前回までサポートしてもらった亜紀には手切れ金の500万と例の会社を紹介してもらうことで関係を切られるし(それでも随分寛大な措置を受けているけど)

美幸に想いを寄せている林からの手切れ金で美幸に近づかないで欲しいという要求を拒むと、林に殺されそうになるなど、色々と忙しいです。


後半では、証拠不十分で釈放された小百合を迎えに行く途中で何者か(出で立ちは明らかに通だったけど)に刺されたことで右半身不随になってしまい

美幸や弥生とのほぼ監禁に近い共同生活を送ることになります。


描き方が被害者的になっているけど

元はといえば自分が元凶で

美幸の対応にも冷めた様子で

本当に罪悪感があるのなら、まず自分から美幸に謝罪すべきなのに、美幸から現れるまで全くその様子もないし(言われるまで土下座すらしない)

あげくに居直る始末で、ただ建前で罪悪感を感じていただけのクズ野郎だと改めて実感。


それが如実に感じられたのは、復讐に駆られた美幸の暴走を阻止しようと林が手切れ金で美幸の前から消えて欲しいと頼みにきた時に、それを拒否したところ。

本当に美幸への罪悪感あるなら、少しは思い悩みそうなところだけど

即決で拒んでいるし

小百合が刑務所に入っているから、自分も堕ちる時は一緒という覚悟での拒否なんだろうけど

客観的に見るなら、他所の土地で安給料で働くよりも、亜紀の援助で得た仕事の方がずっと金になるから離れたくないという魂胆の方が強く感じられます。


次回予告では小百合に頼まれて美幸を陥れる策略に加担するような様子が覗え、さらにゲス度が増しそうです。






●宮本小百合
今回は記憶が戻った弥生の証言で警察に逮捕される役どころ。


警察の取り調べでの横暴ぶりは気の毒にも思えますが

実際に美幸へのレイプを仕向けた張本人だし、口封じに殺したのも間違いなく彼女なので、同情の余地はないです。


また彼女も美幸が面会に来た時に居直って自分を正当化した上で、許せないとかほざくし

釈放後は美幸に陥れられた米倉と手を組んで本腰を入れて美幸への復讐を計画し

戸川に取り入って愛人となり、美幸のバックに控えているブルースコーポレーションを叩き潰そうと画策する様子が描かれるなど

本当に自分の罪を否定して被害者ぶるクズぶりを見せます。


ここまで罪悪感を持たない女性が何をきっかけに悔い改めるのか返って不思議に思います。






●田代美幸
今回も卓也たちへの復讐はフルスロットルです。


卓也たちへの復讐方法は既に書いたので割愛しますが

貶めるためなら

金で解雇させる、社長に黙って勝手に銀行に融資してもらい(しかもかつて自分が務めていた銀行に)を展開して仕事を奪う等

権力を駆使しまくる姿は独裁者かと見間違うほどでした。


後半は図らずも障害を負った卓也を自分の元へ置くことになり、『ミザリー』を彷彿とさせるような共同生活を送ることになります。


劇中はかなり悪人っぽく描かれていますが(やっていることは確かにヤクザの嫌がらせレベルだけど)

劇中の美幸の台詞にあるように、ここまで復讐に囚われる精神状態にしたのは間違いなく卓也たちで、美幸の傍若無人ぶりをどう見たらいいのか複雑な気にさせます。


次回からは加害者のくせに逆ギレして復讐を決行する小百合の策略に嵌められそうな展開が示唆されます。






●米倉俊樹
今回は弥生の記憶が戻った余波で警察に無理矢理連行されてしまいましたが(そもそもどういう理由で警察への同行を求められたのかが分かりませんが)

知らない間に解放され、小百合と共に美幸への復讐を企むようになります。


戸川の愛人となった小百合の手引きで米倉も運転手として働くようになるみたいなので、次回はどう役割を担うのか気になります。






●牧村通
今回は序盤で美幸の家に侵入して今更ながら復縁を迫る身勝手ぶりを晒しています。


正直、美幸が通に以前言われた「強姦された時に感じたか」の台詞に「感じた」を捨て台詞を吐くのは

自分が頼りたかった時に何もしなかったくせに、今更、自分を必要とする通への復讐も兼ねているのかなと感じました。

いずれにしても相変わらず感情移入できない男です。


後半で卓也を刺したのは米倉の店での語り口の伏線や出で立ちから彼であろうことが示唆されます。






●田代弥生
今回はいよいよ美幸が強姦された時の記憶が戻り、その結果慕っていた小百合を窮地に陥れてしまうことになります。


実の姉が明らかに記憶を失う前とは違って異常になってしまったり

加害者ながら自分の面倒を見てくれた恩義がある小百合を苦しめている事に思い悩んだりと、色々と苦労を背負い込む気の毒な役回りです。






●戸川亜紀
今回はガソリンスタンドを辞めた卓也に手切れ金と新しい仕事を紹介して関係を断ち切ります。

関係を終わらせると言いながらも卓也への手厚い措置を残すところを見ると見限ったというわけではなさそうで、まだ未練があるのか気になります。






●林洋二
前回は美幸の復讐を咎めるような発言をしていましたが

今回は美幸への愛情がより表れ、美幸の復讐を止めさせようと卓也に手切れ金で美幸に会わないよう頼み込むアクションを起こします。


しかし卓也に拒まれると車で轢き殺そうと暴走するところは、思想が思いっきり偏っていて、やはりロクでもない人物でした。

結局、美幸に自分の言葉が届いてないところは気の毒な気もしますが

本当に想いを寄せているなら、美幸側から引き離すアクションをしてもよさそうなのに、それをしないのも中途半端な思いぷりだなと感じました。









というわけで7話は後半から『ミザリー』化しているところもあり、またまた急展開を見せますが、ここから初めて見た10話の展開にどう繋がるのか気になります。