こんばんは




今日は先日、偶々CS放送で見ていたドラマ『もう誰も愛さない』について書こうと思います。


『もう誰も愛さない』は91年にフジテレビの木曜劇場枠で放送していたサスペンスドラマで、検索してみると一度見逃すと話についていけなくスピーディーな展開からジェットコースタードラマと呼ばれていたそうです。

実際、自分も早朝に偶々10話目から見ただけなので、間の詳細を知らなかったんですが、とりあえず山口智子が演じている田代美幸が吉田栄作演じる主人公の沢村卓也と田中美奈子演じる宮本小百合に尋常じゃない恨みを抱いていて、2人に復讐を決行する展開に混乱していたんですが
ドラマとしては、そんな話の置いてけぼり感よりも、むしろ終盤に入り佳境に差し掛かってからの登場人物たちの不幸な展開の大渋滞ぶりにただただ圧巻されてしまいました。


とはいえ、まずはストーリーの詳細を書かなければ話が進まないので大まかに書くと

刑務所にいる父親の弁護費用のために卓也と小百合が共謀し、美幸を罠に嵌めて米倉俊樹(辰巳琢郎)が社長の不動産会社から金を横領させる。

罠に嵌められた美幸は横領の罪で逮捕され、一旦は執行猶予が付いたものの、自分が逮捕されたことで家族がマスコミに追われ、そのことが原因でノイローゼになった弟が家の燃やしたことで家族が焼死してしまい、心因性のショックで失明、入院中に自分を流産させた男を刺殺してしまい、再び逮捕され、獄中で2人の陰謀を知り、出所後に自分の父親に恩のあった中国マフィアの王(伊武雅刀)の協力を得て復讐を誓う

という展開で(途中の詳細を知らないので多分そうだと体裁で進めますが)
そこに横領された会社の金を取り返そうと美幸の近辺を洗う米倉や美幸に協力するふりをしながら何やら画策する王やら卓也の父親の弁護ために下調べをする内に何かを画策する弁護士の町田玲子(伊藤かずえ)などサイドストーリーも並行して展開しているらしく

自分が見た段階では復讐のために美幸が殺し屋を雇って小百合を暗殺しようとするんですが、それを知った弥生が小百合を庇って銃弾に倒れて死んだ後からの展開で
この最終回までの3話で容赦なく不幸が矢継ぎ早に展開されていくので度肝抜かれます。

印象的な展開をいくつか上げると

●小百合がいきなり余命5ヶ月の宣告を受ける
●小百合の育った孤児院の土地が売却されそうになり、卓也が取り返そうとするも画策するも、それを知った美幸に阻止される(孤児院の存続を訴えるため美幸の前で卓也と小百合、孤児院の子供たちを土下座させるという問題シーンもあり)
●美幸の横領した金を奪い返そうとしていた米倉と仲間の水木圭子(かとうれいこ)が王の仕向けた殺し屋に殺される。
●王を脅す材料を手に入れた玲子が王を脅すが、逆に絞殺されバラバラ死体にされる。
●小百合がいよいよ病死。
●小百合の葬式に現れた卓也の育ての父親で小百合の実の父親でもある沢村元春(ややこしい設定だ)が王の仕向けた殺し屋にマシンガンで豪快に銃殺される。

等など他にも不幸な展開が色々あるんですが上げるのがキリがないぐらいの量で(Wikipediaの登場キャラの説明見た方が早いかも)本当に不幸の大渋滞の状態です。
ここまでくると滑稽でむしろ笑いがこみ上げてくるというか、かなり最有力で『怒り新党』の三大○○調査会に取り上げられるレベルで、こんな忙しい展開が成立したのはバブル期だったからなのかなと勝手に想像してしまいます。

しかし印象的だったのは山口智子のビッチぶりというか容赦のない復讐ぶり。
この頃の山口智子というとサバサバした明るいキャラクター性の印象の方が強いので、一瞬、情に流されそうになるも心を鬼にして復讐を決行する修羅ぶりが極めて異色に見えます。(服役中の展開を考えると容赦なく復讐してしまうのも納得ですが)


サスペンスドラマなんだけど、矢継ぎ早な不幸の大渋滞に現代の感覚で見ると返ってコミカルに見えるドラマだなと思いました。
『怒り新党』の三大で取り上げないかな。