こんばんは






今日は先日放送していた『科捜研の女』の新春スペシャルの感想を書こうと思います。





今回のスペシャルは京都で起こった身元不明の男性の殺人事件と福井のある村で発見された白骨死体をきっかけに起こる連続殺人が繋がるという展開でしたが、例えるなら、科捜研の女VS金田一少年の事件簿の世界観というのが一番しっくりくるかなという印象。

というのも今回の主軸の事件の舞台となる恐竜の化石発掘を観光資源にしている大菜村(村名が恐竜=ダイナソーと掛かっているところがまた金田一少年の事件簿っぽい)で発見された白骨死体をきっかけに、村に伝わる竜神の祟りをモチーフにした童歌に見立てた連続殺人が起こる展開、被害者たちと発見された20年前の白骨死体の関係性、犯人の動機、他のミステリー作品のキャラ名をもじった人物が登場するところなど、どれをとっても『金田一少年の事件簿』とエピソードと言われても違和感のない設定だなと思っていたら、マリコさんたちの鑑定に協力してくれる考古学者の名前が剣持なので、かなり確信犯的なものがあるのかも知れません。

ただ『金田一少年の事件簿』と違って『科捜研の女』らしく、その事件を捜査するのが京都科捜研であることで、白骨死体の年代特定や事件被害者の死体の微物などの科学鑑定から徐々に真相を暴いていくという現実的な手法を用いているわけなので、事件の捜査過程にかなり説得力がある展開となっていると思います。(でも非番(有給休暇を消化中)だったマリコさんたちが管轄外の事件を捜査するのは、やっぱ結構無理が感じられますが)

一方で京都の事件も片手間にならずに土門さんをメインにちゃんと事件の捜査過程も描かれており、福井の事件と京都の被害者が徐々に繋がっていく過程はさすがに『科捜研の女』らしく安定の面白さがあります。

ただ、一つ気になったのは、終盤になって容疑者の可能性が濃厚となった途端に行方不明になった村長の娘の麻由が最後の犯人の告白の場に剣持さんと共にやって来るんですが、一体どこにいたのかが最後まで消化されなかった点。
最初は犯人が麻由さんを犯人に仕向けるために誘拐したのかと思ったんですが、犯人と麻由さんの関係性が明らかになると、麻由さんが自分に容疑が向くようにわざと隠れていたことは予想がつくんですが、マリコさんたちが麻由さんの居所をどうやって知ったのかがすごく気になります。

そんな今回の『科捜研の女』は2つの事件が同時並行で起こる展開のため、キャラの組み合わせもいつもとは違う組み合わせを試みています。
大菜村の事件を捜査するのはマリコさんと亜美ちゃん。非科学的なものは信じないマリコさんと頭脳は科学的なのに祟りは信じている亜美ちゃんという好対照ぶりがいい味を出してました。
序盤で一緒に旅行に行っていた相馬くんも含めて、このトリオは相性が良いと思います。

一方で京都の事件の風丘先生の死体解剖を手伝うのは、まさかの刑事である木島くん。
死体解剖に辟易としている木島くんを前に黙々と作業をする風丘先生というコンビぶりが良かったですね。
風丘先生は『科捜研の女』の中でもマリコさんに次いでキャラ設定がしっかり作られているので、単発のスペシャルなんかでもいいから、風丘先生+木島くんのスピンオフも見てみたいかも。

今回のゲストキャストに関してですが、剣持さんや事件容疑者よりも福井北署の刑事役の井田國彦さんについて。
この方は2時間サスペンスなんかで犯人だったり殺され役だったりで度々目にするのに名前を全然存じ上げないという状態がずっと続いていたため、今回ようやく名前を知れてスッキリしました。
他の作品ではもっと見た目がカッコイイ感じの方なんですが、今回は伊東四朗のような出で立ちで金田一少年の事件簿に出てきそうな感じの無能な刑事さんを演じてられました。


総評としては、個人的には今回の回には『金田一少年の事件簿』的なシナリオに対して『科捜研の女』ならこうするという返答を出されたような印象を感じます。
2014年に『金田一少年の事件簿』が再アニメ化されたのが記憶に新しいですが
正直、再アニメ化作品は『相棒』や『科捜研の女』のような捜査ものが定着した現在の観点で見てしまうと、犯人の暴走を許してしまうところや警察の捜査過程の描写とか、度々、金田一の宿敵である高遠に出し抜かれる展開がかなりお粗末に見えてしまい
“『相棒』の右京さんなら犯人の行動を先読みして絶対こんな事をさせない”とか『科捜研の女』のマリコさんなら“もっと効率良く事件の真相を暴ける”のにというモヤモヤ感や焦れったさを感じることが多かったんですが
それに対してのある種の答えが今回のスペシャルにはあったような気がします。
そういう意味では、今回はとても意義のある回となったと思います。


今回は『科捜研の女』としては番外編的な色が強いですが、別の推理作品の世界観に『科捜研の女』を絡めるとこうなるというプロトタイプとしてはなかなかではないでしょうか。