授業について | インターナショナル・カンボジアNGOスクール 【ボランティアレポート】

インターナショナル・カンボジアNGOスクール 【ボランティアレポート】

NGOスクールでボランティアを体験された方々のレポートの紹介です。

2007年9月11日~2008年9月17日


 日常生活に関しては日報やブログのほうに書いてきたし、ほかの方も書いているので、ちょっとかたいけど、授業に関してレポートします。


洋平君から引き継いで、日本語能力試験2級対策クラスを1年間を通して教えた。内容は主に読解と文法。授業は誰でもどうぞ~と開放してたので、大体生徒は固定していたが、来たり来なかったりで1回だけ見に来る人も多い。だから基本的には1回の授業で終了する内容しか出来ない。授業料はローカル先生の半額として全額NGOの収入にしていたが、スタッフが集金に来たり来なかったりする。「集金に来ないならお金もらわないぞ!」と言った結果来なくなったので、無料になった。生徒は大喜び。


読解ははじめは本やネットからカンボジア人が興味を持ちそうなトピックスをひっぱってきて、とにかく文を読むことになれるところから。後半は2級のテキストを用いて問題を解くことを中心に時々リスニングの練習もした。時には気分転換にディスカッションをしたり作文を書いてみたり。盛り上がったのは歌の歌詞を読んでシチュエーションを話し合った時や、源氏物語を教材にしてカンボジア-日本の古今の恋愛事情について比較した授業。やっぱ色恋沙汰には食いつきいい。
人数は大体10人前後と少数で、日本語で説明して理解できるレベルの人たち。一方的に説明するのでなく、問いかけをして生徒同士で話し合わせながら(もちろん日本語で)、解答に近づけていくように心がけていた。なので授業はいつも喧喧諤諤。もともとにぎやかな人たちばかりで楽しいけど疲れる・・・。


カンボジア人の傾向として、自分の主張はするけど人がどう思ってるかはあんまり気にしない。だから会話は早く上達するけど、読解はその文が何を伝えたいのかを読まなければならないから、苦手かもしれない。言葉はわかってても、自分解釈でおかしな答えを出すことが結構ある。
例えば、「筆者の意見はどれか」「文の内容と合っているものはどれか」などの問題。半分ぐらいの生徒は本文の内容じゃなくて、自分の意見と近いものを選択してしまう。ときには自分の意見に合わせて本文の解釈を変えてしまう。


実例:『誰かの自宅を訪問するときは約束より10分ほど遅れていったほうがいい』という結論の文。→カンボジア人にとっての、日本人のイメージは“時間に厳しい”
→だから『時間ぴったりに行ったほうがいい』が正解だと言う。
本文にはっきりと「10分ほど遅れていったほうがいい」って書いてあるのに。そしたら、「それはどうしても遅れそうなときは仕方が無いから10分くらいはOKという意味です。」と、口をそろえて言う。


なんでー?!
筆者の意見を勝手に変えるな。


そして頑固なカンボジア人。いちどこれだと思ったら、いくら説明しても納得しない。「ここにこう書いてあるから、答えはこれだよね?わかるかな?」「はい、わかります。でもちがいます。」-こんな不毛なやり取りが繰り返される。


人の話きけー!!!


と心の叫び。でもあくまで優しく、何回も納得するまで説明。ああ進まない。
それにしても日本語を日本語で説明することの難しいこと。ついつい英語をつかってしまうが、英語の意味も必ずしも日本語、クメール語と一致しているわけではないので、あんまり良くないんだろうと思う。特に日本語は似てるけど微妙に違う言葉が多い。同じことばでも使い方によって違う意味になる言葉も。
たとえば「とんでもない」。強い否定の言葉だが、大方の生徒は『大丈夫です』の意味で覚えていた。「ありがとう」や「すみません」への返答の決り文句として、「いえいえとんでもない」というやつを先に知っていたからだ。これは大きな誤解を招きかねない。教える立場としても変なことを言えないな、と思ってしまう。


言葉を教えてみて、あらためて「言葉ってコミュニケーションだなあ」ってつくづく思った。言葉の違う国で話がしたくて自分もクメール語を勉強した。相手の言葉はわかっても自分の言いたいことをいえなくて、もどかしい思いもした。自分の思いを分かって欲しい、人の気持ちが知りたい。そんな思いから言葉は生まれたんだろう。どっちかに偏っちゃうと上手くいかない。いままで深く考えてなかった自国語の難しさや面白さも知って自分も勉強になった。


NGOスクールはこれからいよいよローカルによるマネージメントに向けて一歩を踏み出そうとしている。日本語の授業は次第に減ってきており、ローカル先生のレベルも正直下がってきているらしい。やはり、これを支えていくのは日本人ボランティアによる授業だと思う。芹沢先生もTDさんも2級のクラスは継続していくとの意向。それに中級レベルの生徒や先生のレベルを上げていくことも必要だと思う。ぜひ、これからのボランティアの方に力になっていって欲しい。一年間、本当に楽しくて、そして短かった。


2008/09/09  佐野涼子