入院のときのこと「3日目・術後」 | カンボジア的スローライフ

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スローダウンしてみると見えてくるものがある。ありふれた日常のささやかな出来事。人生って、そんなささやかな暮らしの一つ一つが集まったもの。だから、その一つ一つを大切に暮らすことができたらいい。マンゴーがたわわに実る国、カンボジアからの発信。

昨日、術後に麻酔から覚めてから、さっぱり時間が何時なんだかわからないまま、どうやら外が明るい朝になったよう。


看護婦さんが隣の人の処置をしながら、病室に歩いて戻ることを促しているのが聞こえてきた。

昨日だけで、私を含めて4人の患者さんが同様の手術をしたそうで、最後の方は、私のあと、夜の9時ごろに終わったそう。


私はどうやら、ケア・ルームの二つのベッドのうちの一つに横たわっているようだ。そして、お隣の方が、私の前に手術をされたかたのよう。「あなたは、お昼には手術が終わっているのだから、先に病室に帰るのよ」と説明されている。


・・・・・・ということは、その方より、4、5時間後に手術を終えた私は、まだここに横たわっていてよさそうだな・・・と思い眠ろう・・・と思っていると・・・・・・・その方を病室まで送り届けた看護婦さんがニコニコ舞い戻ってきて、「次はあなたよ、さぁ・・・」と元気に声をかけてくれた・・・・・。抜けるだけのチューブを体から抜き、準備終了したらしい。


「えぇっ、術後、まだ、何時間?」と思いつつ、体を起こされ、しぶしぶ、スリッパに足を入れてみる。ゆらゆらする。背中に麻酔のチューブがまだ挿入されたままだというので、メスの入った部分の痛みは感じない。でも、体内にガスをいれて、体を膨らませての手術だったので、そのガスが体内に残っていて、ガスが軽いので体の上部に上がってきているということで、両肩の肩甲骨の中あたりがひどく痛い。


みんなそうらしい。・・・・ので、皆と同じに温感湿布を両肩に貼ってもらう。


腕が点滴、背中がチューブで、そのチューブにつながっている持続性痛み止めのボトルを首から下げて、同じくドレーンが挿入されている脇腹に大きな当てガーゼでもこもとした体をかかえるように、前かがみになって、看護婦さんと一緒に歩きだす。

218号室は端のほうなので、なんだかとてもはるかかなたまで歩くような気がしながら、よろよろと歩く。


とにかく、術後直後から「痛くても歩く」が、合併症の予防になるとのことで、朝からスパルタで歩かされるのは、看護婦さんの「いじわる」ではなくて、深い深い「思いやり」なのである・・・。


ようやくの思いで、218号室にたどり着くと、一気に襲ってきた吐き気。

ゴミ箱の前に陣取る。

「吐きたくても、でるものないわよ」と看護婦さん。

そのとおりで、ゲーゲーするのに、一滴も何も出ない。ドライなゲー。

しばらく、ゴミ箱見つめてから、落ち着いてきて、横になる。


空からにかわいた喉をうるおす24時間ぶりのお水を一口飲んで、すぐに寝てしまった。

これも幸せなことだ。

こんな苦痛は寝て過ごすがベストよ。


11時半から、食後30分前に飲みなさいという漢方薬を服用。止めていた消化器の働きを今度はよくさせるために、その漢方薬を毎食前に飲むんだそう。


12時、念願のランチタイム・・・・だけど、食欲ゼロ。

昨日、隣の方が、食べた瞬間吐いたのを見たし、今朝、歩いただけで吐きそうだったし・・・・


でも!


院内放送を聞いて、天にも昇る気持ちになる。

「ピンポンポンポーン。本日の昼食は、バイキング形式となっております。歩ける方は、ロビーにて、お好きなものを召し上がってください。ピンポンポンポーン。」


巨大胃袋、俄然目覚める。胃に目があるなら、お目めぱっちりといった感じ。

「バイキングゥ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、歩いていかれないよぉ・・・・どうしよう・・・・・」と思っていると、看護婦さんが来て下さった。

「なにか適当に持ってきてあげるわね。」


自分でえらべないのは残念だけど、看護婦さんに任せたほうが、術後初の食事にふさわしいもの・量になるわと納得。でも、昨日手術した私以外の3人は、バイキング現場まで、よろよろ行ったそう。それで、3人とも、吐いたそう・・・・・・。


蟹入りお粥、豆腐のカナッペ風、サトイモの煮物、ポテトサラダ、酢の物、小さなおかずあれこれ、美味しそうなものを一口ずつよそって持ってきてくれた看護婦さんにお礼を言って、しばし眺める。


「あぁ、なんて美味しそう。バイキングがあるなんて、病院食も進歩したものだわ。でも、食べられるかなあ・・・・・。」と、恐る恐る一口ずつ食べ始めてみると・・・・・・・。


さすが、大食い選手権、入る入る。吐き気なんて生まれてこなさそう。

・・・・・・・・・・・・・・で、ついに、術後初の食事を恐るべし完食(笑)。

バイキングのロビーまで行かれなかったことを悔みつつ・・・・・喜びのランチとなる。


これを気に、元気が湧いてくる。

食後、また横になる。

夕方になって、看護婦さんが「痛くても、頑張って歩くよう」言いに来た。

今日、歩かないと、明日がつらいのだと言う。

でも、歩けそうにない・・・・・。


そんなこんなのうちに夕食の時間になる。

やはり全部喜びの完食!


でも、食べるものはしっかり食べたけど、まだ腸が働いていいないみたい。ガスもでないおなかは、だんだん張りつめつつある。

看護婦さんがまた来て「おなかが張ってるから、今から廊下を20往復しなさい。明日は、60往復よ。」


しかたなく、点滴ポールをごろごろ押しながら、病院の廊下を往復し始めると、同じく、皆さんも同じように前かがみになって、点滴をごろごろと押しながら歩いていた。


次第に3人が4人になり・・・・一団となって、痛みがどう、お通じがどう、と井戸端会議をしながらの廊下の大移動となる。すっかり仲良くなって、夜が更けていった。


夜は、ぐっすり眠った。まだ、背中のチューブを入れているから、痛み止めが聞いて、よく眠れるらしい。


そんな3日目。

術後の唸り。やっぱり手術は手術だわ、開腹でなく、腹腔内でも、術後はさすがにきつい。もう2度と病気なんていやだと実感。いつ、良くなるのか、なんだか先も見えない。

そんなこんなで、写真を撮るなんて余裕は全くなし。