合格体験記という言葉は個人的には、不合格体験も踏まえての合格なので、不合格体験記も私にとっては、合格体験記みたなものです。

 

そんなことはどうでもいいとして、以下令和3年司法試験の結果発表後(令和3年9月あたり)~令和4年司法試験に向けてどのような勉強をしていたかをなるべく具体的に書いていこうと思います。

 

令和3年司法試験の成績の結果は1421人合格で1506番で、論文の点数だと6,7点足りなった感じでした。行政法、労働法、民事訴訟法の基礎知識や、行政法で会話文の誘導にしたがった答案が書けなかったことが、主な不合格の要因でした。惜しい点数であったとはいえ、短答が146点とたまたま高得点だったこと、刑事訴訟法が60点台で予想以上に点数が跳ねたことから、まだまだ、実力が合格に足りていないと感じていました。仮に、典型論点を落としたり、短答がそこまで取れなかった場合に備えて、文章力、すなわち答案の説得力を鍛えて、全科目安定した答案を書きたいと思っていました。その時に気になっていたのが、安田先生の存在で、安田先生ならば、説得力のある答案を書けるようになるためのヒントをくれるだろうと思い、50通添削コース(ミーティング付)の申し込みをしました。

 

先生の最初のミーティングで説得力のある答案を書きたい旨伝えると、論理トレーニング101題という本と民法でみる法律学習法という本をお勧めされました。論理トーレーニング101題は、法律とは関係ない本なのですが、接続詞の問題を解くことで、手持ちの教材や問題文の接続詞に〇を付ける癖が付き、文章が読みやすくなってきました。そうすると流れのある文章のほうが読みやすくなっていったというか、心地よくなっていき、加藤先生の教材は記憶の対象と重要論点の確認、論文の書き方の確認用とし、理解については基本書という感じで用途に応じて使い分けするようになりました。ちなみに、ロースクール3年の夏までは伊藤塾の教材しかほとんど使っていなく、ロースクール3年夏から令和3年司法試験(2回目)の合格発表まで加藤先生の教材と若干の演習書しか使ったことがありませんでした。そのため、基本書を持ってなかったので、必要性に駆られて徐々に気づいたら、8科目基本書(薄いものも含め)が結果的に揃っていました。

 

民法でみる法律学習もかなり参考になりました。良かった点は色々ありますが、論文を書く上で基礎となる重要なことが書かれていると思います。読んでいただくと凄く得るものがあると思います。何が良かったかは具体的に言わないほうが良い気がするので、敢えてここでは言いません。

 

答案については、週2→週3→週2→週3のペースで過去問を起案しました。試験直前期までこのペースを保っていました。

ちなみに安田先生に提出した手書きの論文(7科目)と泉谷先生に提出した手書きの論文(労働法)は、全部ブログにアップしているので、どんなペースで書いたかが分かると思います。ブログにアップした論文以外は模試を除けば書いていません。

答練も受けていません。

 

9月の末あたりでしょうか。オンライン添削の合格報告会で、確かニックネームひまわりさんという方が、予め答案を書く時は問題文、出題趣旨・採点実感を読まずに時間を計って書いたのが良かったとおっしゃってて、確かに、問題を知っている状態だと良くないなと思い、ひまわりさんのやり方を真似ようとしました。

 

しかし、全く知識がない状態で書くのも良くなかったので、若干やり方を変えました。辰巳法律研究所のぶんせき本で、問題文、出題趣旨・採点実感は見ずにどんな論点、判例が出題されたかのみ確認して、例えば、既判力の主観的範囲が出たら、既判力の主観的範囲にとどまらず既判力の全分野をストゥディア、最新重要判例250及び判例百選で読み、えんしゅう本で既判力のところを全部解いてから、過去問を起案しました。その後に出題趣旨・採点実感を確認するようにしました。そうすることで、結局は、基本書・判例集で書かれている基本的なところを押さえていれば合格ラインに乗っかるなと思いました。

 

つまり、過去問を起点として、①基本書、判例集、短文事例問題で当該分野の基礎を固めてから、②過去問を起案して、③出題趣旨・採点実感を読むという流れで進めていきました。

 

そして、知識面や書き方面で疑問に思ったことを週1回30分の安田先生のミーティングで解消していきました。

 

また、司法試験は8科目と範囲が広いため、知識に穴があると失点の原因につながります。当時、たまたま、父親から手帳を貰ったので、その日1日にやったか科目分野、当該科目で不安な分野をメモしていくようにしました。最初に手帳に書き込んだのが11月4日でそれから5月の司法試験の時までずっと書き込んでいきました。そうすると、確か刑事訴訟法だと思いますが、3週間ほど勉強していなかった科目などが普通に出てきたりして、刑訴そろそろやらないとヤバいなと思えたりします。主観と客観ズレるので、これは結構効果的な勉強法だと思います。

 

また、知識の穴を無くす方法として、基本書の目次を見たり、判例集の目次を見たり、短文事例問題の目次を見てできないところはないかを確認していました。

 

また、みんなが書けるところ落とすことが嫌だったので、加藤先生の教材のランクを参考にしつつ、趣旨規範ハンドブックの星マークのところを確認して、星マークを見つけたら、該当箇所を加藤先生の教材、基本書、判例集で確認するというダブルチェック体制をとりました。これはたしか年末のオンライン添削が休みの期間にやったと思います。

 

このような感じで知識に穴を無くしていきました。安田先生の添削によって、文章力を鍛えつつ、基本的知識を強固にしつつという二方面から良くしていくっていうイメージです。文章力と基本的知識は両輪みたいな感じだと思います。

 

そのような感じで、12月ころには自分の答案のスタイル的なものができてきたような気がします。ブログに上がっている答案を見て頂ければ分かりますが文字の大きさが徐々に統一されてきているような気がします。たぶん、書ているうちにそうなっていくものだと思います。

 

ブログで令和2年、令和3年司法試験の再現答案を分析していますが、分析をしっかり行えたのは令和4年司法試験終了後の8月、9月のことなので、私自身令和3年司法試験の再現答案を分析することなく、令和4年司法試験に突入してしまいました。しかしながら、令和4年司法試験の再現答案を分析すると、令和3年司法試験で出た反省点がかなり改善傾向にあることが分かりました(過去の記事参照)。これは、おそらく、答案を時間を計って書く中で、安田先生に添削されて改善されたり、あるいは自分自身で足りないことに気づき改善されたりするなかで、自己の欠点が自然と減ってきたのだと思います。

 

令和4年司法試験に向けての受験期間は、常に落ちる原因があるとしたら、どこかを一日中考えていたと思います。敗因となるとしたら、どこかを常に自問自答していた気がします。

 

あとは、伸びしろがあるところはどこかという意識は重要だと思います。伸びしろがないところ、つまり分かっているところを何回もやっても効果的でないと思います。

 

ざっくり言えば、令和2年司法試験は基本的知識の欠如、令和3年司法試験は基本的知識の欠如と点数を少しでも取ろうとするあまり余計なことを書いてる感じがします。

余計なことに分量を割くと、問題の所在を掴み切れていない答案であるとしていい評価が得られないのではないかと思います。

 

その2へ 続く