【1】初見
ナミュールvsマスクトディーヴァ?
二強と呼ぶには実績、対戦比較ともに差が大きすぎるので「?」を付けました。
今週もこの2頭で決まる可能性は十分ありますが、敢然とナミュール一強です。全体的に例年より小粒なメンバー構成に見えます。
ナミュール A
昨秋覚醒したように見えがちだが、2歳戦から圧倒的なパフォーマンスを見せておりそんな事はない。3歳時勝ち切れなかった事も、4歳春不振に陥った事も、シンプルに騎手が合わなかったという事で結論付けます。ある程度の根拠は提示できますが、騎手批判になる部分もあるので省略します。
その昨秋は…
富士Sでは1.31.4の高速決着で1着。2着馬を0.2秒差、3着馬を0.6秒差と突き放す強い内容。
MCSではミドルペースでラスト3F33.0(1位)で馬群を縫うように追い込んで1着。シュネルマイスター、セリフォスが凡走しており若干怪しいレースではあったが…その後香港マイル3着ドバイターフ2着とそのカテゴリーにおける世界のトップホース相手に上位争いをしており、地力に疑う要素はない。
弱点を探すとしたら、ラスト3F32秒台の脚を使った事がない点。スローのヨーイドンになった場合にはキレ負けするかもしれない。牝馬限定戦なので無い展開ではない。
G1のハイレベルな流れには滅法強い。
【2】全頭診断
スタニングローズ B
ナミュール、スターズオンアースと激戦を繰り広げており、対戦比較上は明確に上位。
東京1600はサウジアラビアRCで0.1秒差3着があるが、結果的に手薄なメンバー構成であった事もあり、得意という根拠はない。
古馬になってからの中山記念、大阪杯で敗れているが、前々で競馬をして大きく崩れてはいない。良馬場で先手なら粘り込みは当然ある。△~✕
ハーパー BC
1600より2000前後で先行力を活かす競馬がベスト。東京1600のクイーンC勝ちがあるが、結果的にメンバーが手薄だった。
大阪杯で先手が取れなかったように、スピード不足で出番がない可能性が高い。✕~消し
ライラック C
府中牝馬Sで0.1差4着があるので、牝馬限定の東京ならやれない事はないだろう。
前走は関西で大幅馬体減と敗因は明確。
既にG1で馬券内があり、使い方もG1照準。
状態は要確認も、巻き返し警戒。✕~消し
ウンブライル C
昨春はNZT、NHKマイルと連続2着も稍重+この組はその後不振で微妙な評価。
東京新聞杯は長欠明け+22kgで度外視可。
前走阪神牝馬Sでは-10kgでマスクトディーヴァと0.1秒差2着。ラスト3F32.9(1位)と数字は派手だが、全頭同じような脚は使っており強調は出来ない。
スローの上がり勝負でタイム平凡。あまりレベルは高くなかった可能性がある。△~✕
マスクトディーヴァ C
秋華賞はリバティアイランドの仕掛けに全く追随せず、完全に着拾いで、あまり評価は出来ない2着。
ローズSはレコードだが、改めてメンバーを見るとかなり手薄。こちらは逆にブレイディヴェーグが権利取りに徹した事による勝利の感。馬場でタイムが速かっただけのレース。
阪神牝馬Sも対戦比較、内容共に特筆する程ではない。過大評価気味の1頭。△~✕
フィアスプライド CD
ターコイズSはハンデ戦で評価微妙。
府中牝馬S、関屋記念といった左回りの高速馬場でラスト3F33.0-32.6と条件は合いそう。
前走は小回り1800、稍重、トップハンデと、おそらく苦手な条件が全て揃った。度外視可。
地力が足りるかどうかだけ。✕~消し
モリアーナ CD
横典マジックで好走してしまっている面があるので、特性を掴み兼ねてる1頭。
阪神牝馬Sは勝馬とは0.3秒差あり、この組で上位独占でもない限り厳しい。✕~消し
フィールシンパシー CD
牝馬限定のG3なら上位争い出来るだけの地力はある。
東京1600は3勝クラスで1.31.9で1着。ミドルペース判定でラスト3F33.4と数字だけ見れば立派。同レースには3勝クラスを既に突破してオープンで善戦してる馬もおり、3勝クラスとしてはハイレベルだった。下位人気から抑える価値のある1頭を挙げるとしたらこれかもしれない。✕
コンクシェル D+
二連勝中だが、どちらも前々で競馬をしたら後ろが来なかっただけという微妙な内容。
条件戦は圧勝続きだったが、相手が弱かったから独走になっただけくさい。✕~消し
テンハッピーローズ D
左回りの1400がベスト。1600でメンバー強化の今回は好走の根拠を見出だせない。
京王杯SCならチャンスあったと思う。消し
ドゥアイズ D
元々地力はあるし力も出し切るが、決め手に欠けて勝ち切れないタイプ。
成績は額面通りで良く、現状はオープン~G3が一杯だろう。消し
サウンドビバーチェ D-
前年の阪神牝馬S勝馬だが、一年経って手薄なメンバー相手に前残りという評価に落ち着いている。成績も下降線で。消し
ルージュリナージュ D
左回りの高速馬場1600-2000が守備範囲。
とは言え現状3勝クラス程度の力。消し
キタウイング E
3歳頭のフェアリーSを最後に好走無し。
ピークアウト濃厚で期待は酷。消し
【3】中間結果
◎ナミュール
△スタニングローズ
△ウンブライル
△マスクトディーヴァ
✕ハーパー
✕ライラック
✕コンクシェル
✕フィールシンパシー
3列目まで含めてもここまでですかね。
◎以外は状態、枠順、展開だけでも馬券内まで届くメンバー構成だと思います。
【4】調教、状態面
ナミュールが唯一の完全テン乗りで若干の怪しさを残す。保険はタテ目BOXが良いかもしれない。
他はG1仕上げで特に問題無し。
【5】枠順、展開
1~7番に上位馬がほぼ収まった。
10番ナミュールがこれらを外から捩じ伏せられるかどうか?という構図になる。
ハナは③スタニングローズか④コンクシェル。どちらもそこまで速くはない。⑭フィールシンパシーが外から楽に番手確保が可能。
⑥マスクトディーヴァも前走4番手の競馬の活きそう。
【6】補足①
今年のメンバーで東京1600で古馬相手に馬券内があるのが…
ナミュール
東京新聞杯G3 1.31.8 2着
富士SG2 1.31.4 1着
フィールシンパシー
紅葉S3勝 1.31.9 1着
以上2頭のみ。
昨週のNHKマイルCも1着ジャンタルマンタルが1.32.4。上位も持ちタイム上位馬が占めており、好走には必須条件。
東京1600のG1となると、良馬場なら1.32.0より速い決着に対応が出来ないと、安定して上位は困難だろう。フィールシンパシーは人気はないが、この1点は抑える価値は高い。
またフィールシンパシーはミドルペース以上で先行して踏ん張るタイプなので、この馬がスローにはさせない可能性が高い。乗っているのが若手の横山琉人騎手なので、展開の鍵を握らすのは酷かもしれないが…ペースが流れれば⑩⑭の1点はかなり有望だと思う。
コンクシェルは3歳の7月に既に中京1600を1.32.3で勝っており、本来時計勝負には強いのかもしれない。全体の持ち時計でも3位。
節分Sは休み明けで状態面が良くなった。再び連勝中で勢いは買い。枠も良い。
フィールシンパシー、コンクシェルの持ちタイムが評価出来るのは、逃げ~先行で記録してる点。持ちタイム分だけ走って来れば残ってる可能性がある。
ウンブライル、マスクトディーヴァは東京新聞杯で力を発揮仕切れなかった中で1.32.5-1.32.7と対応可能な余地を残している。
持ちタイム面で挙げた4頭は、奇しくも前走2着以内という事もあり、この辺りで腹を括っても良いのかなと。
ちなみに「対戦比較上推せる馬がいない」という理由が根底にある事を、重ねて申し上げておきます。
【8】補足②
出走馬の前走という観点から見ると、2019-2020で完全に潮目が変わっており、○○牝馬Sからの巻き返しが全く無くなっている。とりわけ阪神牝馬S組の急落が顕著だろう。
これは外厩制度の発展に伴い、強い馬は直行ローテが基本となった事が明確に要因。
強い馬はG1だけを転戦し、実績落ちの馬がG2~G3を使う傾向が強まったのが、おそらくこの辺り。上位馬が基本的に春先の○○牝馬Sには出て来なくなったのだ。
過去10年成績から見る2019年までの前走G1出走馬での馬券内は、ストレイトガールの2回のみ。大阪杯も2回あるが当時はまだG2だった。
それに対して2020年以降の前走G1(+海外レース)出走馬の馬券内は8/12と圧倒的である。
加えてノーザンF勢が前走G1or海外レースで4連覇しており、完全にこのレースは手中に修めている。逆に非ノーザンF系なら前哨戦上位の状態と勢いが必須…という構図が成り立っている。
前走G1馬+前走○○牝馬S上位馬。
2020年以降はこの形で決まっている。
こういうのは過去10年データ系の落とし穴なので、引っ掛からないよう注意したい。
【9】まとめ
①ナミュールが地力断然
②低調なメンバー構成
③持ち時計必須のコース
④前走G1組+前哨戦上位馬
⑤巻き返しはG1、海外レースのみ。G2以下の巻き返しは望み薄。
【7】結論
◎ナミュール
○スタニングローズ
▲マスクトディーヴァ
△コンクシェル
△ウンブライル
△フィールシンパシー
✕ハーパー
買い目
ワイド
◎-○▲△✕
3連複
◎-○▲△✕
3連単1着固定と、保険でタテ目抑えるかは懐次第で。
【回顧】
スタートで一番強い馬が出遅れてレースが壊れてしまったので、このレースから次G1に繋がる何かを得ようとするのは辞めた方が良いと思います。
ルメール騎手だけが100点満点の騎乗をしてますね。後はもう結果論だと思います。
直線は先行勢がタレて来そうなので誰も内を突けなかったのか、馬場の中央数頭分の進路の取り合い。ナミュールが出遅れてワンチャン出て来たのもあったのか、マスクトディーヴァやナミュールを押し込める馬がいたりで、とにかくゴチャついてました。
左回りの高速馬場が得意で、一か八かで一足先に仕掛けられる人気だったテンハッピーローズが、外から想定以上の脚を使えて勝てた感じに見えました。一階級下のスピードが距離を凌駕できる馬場だったのでしょう。他は1600以上の馬でしたし。
フィアスプライド物差しで、力を出し切ったのが1着テンハッピーローズ、4着ドゥアイズ、5着ルージュリナージュ。牝馬限定G3~G2程度の評価で良いと思います。
ナミュールがレースに参加出来なかったら、メンバー構成的にこんなもんです。
先行勢が崩れる程のペースではなかったように思いますが、最終直線の向かい風で力尽きたのかもしれません。