※長文苦手な人は【9】まで飛んで下さい。
【1】初見
テーオーロイヤル中心。
テーオーロイヤル B+
芝3000以上のレースで【3-1-1-0】東京、阪神、中山とコース不問。馬場は現状稍重まで克服済み。
昨年末から3戦して
ステイヤーズS 3000地点から3F33.9(1位)2着
ダイヤモンドS 2800地点から3F33.7(1位)1着
阪神大賞典 2400地点から3F34.8(1位)(稍重)1着
スローで折り合い2400以上走ってから速い脚が使えるというのは、本物のステイヤーにしか出来ない芸当。根拠のある強さと言えます。
とりわけ阪神大賞典はラスト5F目からペースアップが始まっているレースで、他馬を捻り潰す圧勝劇となりました。
ダイヤモンドSは4歳時から斤量+4.5kgのトップハンデでありながらも、ほぼ同タイムで勝っており、一回り強くなったのは間違いないです。
自分のレースに徹すれば3000以上のレースでは絶対的な安定感を誇ります。
2022年の天皇賞(春)で既に3着に入っているので…アルバート、ユーキャンスマイル、フォゲッタブルのような、古馬G1で通用しないステイヤーという事もないでしょう。
勝ち時計で早いと言える物はないが、長距離戦の時計は水物、気にする必要はないと思います。
ただし、現状での地力評価はあくまでB+(古馬別定G2は勝てる。古馬G1で2、3着以上)
安定感には絶大な信頼を置くが、1着固定まではリスキーという判断。
ただ、この馬が今年は物差しであり、中心馬である事は間違いないと思います。
馬券外に飛ぶケースがあるとすれば、道中乱ペースに翻弄されて、勝負所の前になし崩し的に脚を使わされてしまうパターンでしょうか?
ただ、ここまで馬の力を信じて泰然自若としたレースぶりなので、あまり考慮する必要は無さそうです。3着を外したら仕方ないレベルにはある馬だと思います。文句無しに強いステイヤーです。
【2】テーオーロイヤルの倒し方
3000以上のレースでの負けパターンとしては
①逃げ馬を捉えられない場合。
まず2023年ステイヤーズSのアイアンバローズ。これは大逃げ放置の特殊状況で、無理せず直線競馬で2着を拾った形。
にしても、ステイヤーズSでの上がり33.9はおそらく歴史上断トツの数字である。
※2004年にダイタクバートラムが同タイムを記録しているが、この年は馬場がカチカチで参考外の年。
次が2022年天皇賞(春)のタイトルホルダー。4コーナーで捕まえに行ったものの、完全に跳ね返された形。最後は苦しくなってディープボンドにも差されてしまった。なお、3000以上のレースで同馬を後ろから差したのはディープボンド1頭のみ。
敗れたものの、近年では希少な強力ステイヤー2頭相手に3着は立派。おまけに2頭とも大の重馬場巧者で、稍重馬場が響いた部分はある。
とは言え、今年のメンバーなら渋った方がスタミナ面で有利なのは前走阪神大賞典で証明済み。
このディープボンドに差されたケースが②となります。
③ラスト5Fよりさらに手前からペースを上げて持久力勝負で勝つ。
という訳で、3000以上のレースでテーオーロイヤルに勝つ方法を現実的な順で並べると…
①前でレースをして完封する。
②何らかの理由で力尽きた所を差す。
③先に仕掛けて競り勝つ。
となる。
①を成立させるにはタイトルホルダー級である事が条件。
②を成立させるにはタイトルホルダー以上の①がいる事が条件。
③を成立させるにはゴールドシップ、ヒシミラクル、マンハッタンカフェ級の真性のチャンピオンステイヤーが突然現れる事が条件。
と、注釈が付く。
結局①がいるかどうかに尽きると結論付けます。
【3】テーオーロイヤル軸の勢力図
ここで登場するのがワープスピード 。
昨年末からテーオーロイヤルと3戦してステイヤーズS4着、ダイヤモンドS 3着、阪神大賞典2着。力を出し切るタイプで、こちらも長距離戦の物差しとなる。
では、相手はワープスピードとダイヤモンドSで2着のサリエラで良いのか?と言えばそうではない。
ステイヤーズS
テーオーロイヤル57kg
ワープスピード57kg 0.3秒差
ダイヤモンドS
テーオーロイヤル58.5kg
サリエラ55.5kg(57.5kg) -1kg クビ差
ワープスピード56kg -2.5kg 0.2秒差
阪神大賞典
テーオーロイヤル57kg
ワープスピード57kg 0.8秒差
天皇賞(春)
テーオーロイヤル58kg
58.5kgで勝鞍有り
サリエラ56.0kg(58kg)
勝鞍は54kgまで、馬券内も55.5kgまで
ダイヤモンドS 3kg差→今回2kg差
ワープスピード58kg
勝鞍、馬券内共に57kgまで
つまり、この2頭がテーオーロイヤルと同斤量かつ56.0kg、58.0kgで、前走以上を期待するのは難しい状況に置かれているという事。
阪神大賞典1着テーオーロイヤルと、2着ワープスピード(0.8秒差)の…
①前を走っている可能性のある馬
②間に割って入る可能性のある馬
を、探す事が今回の予想の肝となる。
強いステイヤーが希少種となっている時代背景から、①が3頭以上いる可能性は低いと思われます。1頭、あって2頭と決め打ちして良いかと。もちろんゼロの可能性も十分あります。
②が2頭以上いる前提で絞り込んだ結果、何もいなかった場合に…
③ダイヤモンドS上位3頭のまま
が、浮上して来る。
今年はそんな構図だと見ています。
◎テーオーロイヤル
△サラキア
△ワープスピード
全頭診断で、ここに肉付けしてゆきます。
【4】全頭診断
ドゥレッツァ B
金鯱賞は格上プログノーシス58kgに対し59kg。0.8秒差付けられたとは言え、最高のパフォーマンスを見せた3000から1000短い2000。弁解の余地は大きい。
弱い4歳世代ではあるが、菊花賞は強いステイヤーの素養を漂わせる内容。テーオーロイヤルの前にいるとすればまずこれでしょう。
菊花賞では2着タスティエーラに0.6秒差。
テーオーロイヤルがこの0.6秒の間より後ろに入るというのは考えにくい。
一騎打ちを見据えつつも、古馬相手に同様のレースが出来るとは限らず、崩れる可能性も視野に。○~▲
タスティエーラ B
有馬記念0.6秒差、大阪杯0.7秒差。着差だけ見れば許容範囲だが、ちょっと上がり目が見えない。
最強のレースは皐月賞だったが、小回り2000の大阪杯を先行して結果が出なかった。元々力は出し切るタイプなので、これが現状なのかもしれない。
3歳春に詰めて使っており、実は早熟の気があったのかもしれない。菊花賞も着狙い気味のレースで…。✕
シルヴァーソニック B
8歳馬で長欠明けの前走負けすぎではあるが、長欠明けで馬体減とお世辞にも状態は良くなかった。前年3着馬でまだ賞味期限は切れていない。ただ、昨年はタイトルホルダーが競争中止しており、実質4着評価とすると…リピーターとしての効力は極めて薄くはなる。
状態一変が必須だが、他の馬が力尽きるようなら浮上も。△~✕
ディープボンド B-
長く活躍して来た名ステイヤーもさすがに衰えが隠せなさそうだが、前年2着と賞味期限は切れていない。前走得意条件で力尽きたのはかなり大きな不安材料となるが…余裕残しの馬体でテーオーロイヤルの外で先に動いた分、削られたのは間違いなく、勝つ為に動いた結果。着狙いならまた違っていただろう。年齢的に最後の勝負を懸けるとしたらここしかない。状態一変は欲しい所だが、巻き返しは当然ある。△~✕
チャックネイト BC+
アルゼンチン共和国杯でゼッフィーロの0.2秒差3着。AJCCはボッケリーニにハナ差勝利。不良馬場で参考にしにくいが、スタミナの裏付けにはなるかも。対戦比較は地味だが上位。
2023年1月の長良川S(2勝クラス)から6戦して負けても0.2秒差と安定して力を発揮しており、充実期なのは間違いない。全く別路線からの一発があるとしたらこの馬か。▲~✕
ブローザホーン BC
このメンバーでは地力上位。阪神大賞典では5番手から良く食らい付いて3着。しかし0.8秒差と逆転は考えにくい着差。
大阪杯2着のローシャムパークにも函館記念で0.4秒差付けられており、G1で勝ち負けにはちょっと足りなさそう。
札幌日経OPを稍重で圧勝しており、馬場も言い訳に出来そうにない。
小柄なので、58kgで3200もプラスとは言えまい。△~✕
サヴォーナ BC
安定して力を発揮していたが、前走阪神大賞典でついに崩れて1.3秒差。
菊花賞は道中唯一大きく動いて積極的なレースをした。展開的に好騎乗だったと思うが、
跳ね返されて1.0秒差5着。2400前後が良さそう。✕
サリエラ C
2500でも3400でも上がり3F33.8-33.9。
高い長距離適性がある。ダイヤモンドSはテーオーロイヤルに肉薄したのは事実だが、相手は最後流す余裕。それで今回は斤量差が1kg縮まる。小柄で56.0kg自体も響きそうで逆転は考えにくい。△
ワープスピード C
テーオーロイヤルと昨年末から3連戦。余力残しの相手に対して、こちらは目一杯。疲れが出るなら当然こちらだろう。腹を括った1点勝負はしやすいが危険。△
プリュムドール C
3200を元気に走って来れる事は間違いないスタミナの裏付けはある。阪神大賞典組でおさえるならここまで。京都の下り坂で全く加速出来なさそうなので、前走以上はなさそうだが。✕
マテンロウレオ C
前走大逃げを打って完璧にはまったが0.2秒差4着。更に700m延長はどう考えてもマイナス。体力はあるが決め手がないタイプ。
だがしかし、ボッケリーニが捕まえに行かなければ逃げ切っていた可能性も考えられ、実ははまり切って無かったかもしれない。
テーオーロイヤルが馬券外に飛ぶとしたら、この時のボッケリーニの競馬を強いられる場合が考えられるが…先行してラスト5F、遅くても4Fからペースを上げられる馬がテーオーロイヤル、ドゥレッツァと2頭いるので、そもそも大逃げが通用するメンバーではない。もう1度チャレンジする可能性は捨てきれないが、今回は普通に乗りそう。
菱田騎手が「2004年の天皇賞(春)で衝撃を受けたのが騎手になるきっかけ」と、フラグ立ててるのだけ気がかり。深読みすると、むしろその方がレースがしやすいので誘っているのかもしれない。
どちらにしても展開を激変させる馬なので熟慮が必要。
※2004年の天皇賞(春)は横山典弘騎手がイングランディーレで大逃げを決めて勝ったレース。
元々かかり易い気性で、大観衆のG1もマイナスなのでは?しかし前年5着という微妙な成績が僅かに引っ掛かる。✕
シュヴァリエローズ D
オープンで壁。1800~2000が主戦場で、京都記念は初の2200で好走の部類だが、最後は止まっており距離延長がプラスの根拠に乏しい。消し
スカーフェイス D
1800~2000が主戦場。前走2600のオープン競争での好走を受けての出走だろうが、4着。甘くない。消し
ヒンドゥタイムズ D
1800~2000が主戦場。初の2400だった京都大賞典が0.2秒差4着。先着はプラダリア、ボッケリーニ、ディープボンドと中距離古馬別定G2としは合格点のメンバー。重馬場なら化けそう。良~稍重程度なら消し。
メイショウブレゲ D
ワープスピード、チャックネイトと3勝クラスで対戦してるが、これらを負かせる事は無さそう。阪神大賞典も1.4秒差と望み薄。消し
ゴールドエクリプス E+
重の芝3000の3勝クラスを53kgで勝利。これで通用するならあまりにも楽な世界。消し
スマートファントム E+
2勝クラス→3勝クラス連勝。通用しないけど、その2勝が藤岡康太騎手。何らかの神通力が発動する可能性がある。爆穴としておさえるならアリ。✕
ハピ E
古馬になってから中央のオープン巡回組になってしまったダートの星。消し
メロディレーン E
前走久々の好走だが、元々の地力的に厳しい。消し
ウインエアフォルク G
3勝クラスで掲示板。2勝クラスでも苦戦しており、長距離戦でも望みはあまりにも薄い。消し
【5】中間結果
◎テーオーロイヤル
○ドゥレッツァ
▲チャックネイト
△サリエラ
△シルヴァーソニック
△ディープボンド
△ブローザホーン
△ワープスピード
【6】調教、状態面
ディープボンド、シルヴァーソニックはきっちり上げて来た印象。
サリエラ、シルヴァーソニック、チャックネイトは完全テン乗りで勝負気配欠ける。
【7】枠順
チャックネイトは未経験の距離で外枠。
【8】展開
マテンロウレオの大逃げは通用しない。普通にレースをする。
ドゥレッツァが引っ張るレースになる。
テーオーロイヤルが番手を取れたらほぼマッチレースとなる。
延々スローで流れて中距離馬の決め手が活きる展開は限りなくゼロに近いだろう。
【9】まとめ
・勝つのはドゥレッツァかテーオーロイヤル
・より飛ばないのはテーオーロイヤル
・リピーター2頭を見限ってはいけない
・ダイヤモンドSの3頭で決まる程甘くない
・マテンロウレオは逃げない
・距離実績ない馬の出番はない
【10】結論
◎テーオーロイヤル
○ドゥレッツァ
▲ディープボンド
△サリエラ
△ワープスピード
△ブローザホーン
△シルヴァーソニック
✕タスティエーラ
買い目
ワイド◎-○▲△
ここから派生させて3連単3連複は少し買います。◎-○▲が本線。
3列目はお好きな穴馬をプラスしても良いかと。
【11】補足
過去10年で阪神大賞典組が全く馬券に絡まなかったのは3回。
2014年は勝馬ゴールドシップが乗替わり+出遅れ。
2019年は勝馬(圧勝)シャケトラの出走無し。
2020年は勝馬ユーキャンスマイルが乗替わり。
この三年とも阪神大賞典が10頭前後の少頭数で、馬券内に前走3勝クラスの馬が入る低レベルなレースだった事が共通点として挙げられます。
20年スパンで見ると説明の付かなさそうな年もありますが、ここ10年で見ると長距離路線の専業化が進んでいるのか、信頼度を上げて来ているようです。
【回顧】
だいたい思ってる通りの結果になったので、あまり言う事はありません。
ディープボンドとテーオーロイヤルは、逃げたマテンロウレオをいつでも捕まえられる位置でペースメーカーに使った形。そしてきっちりラスト4Fからペースアップして着いて来る馬をふるい落とす、長距離戦らしいレースにしました。
ブローザホーンは前走で勝つのは難しいと判断したのか、後方で折り合い着狙いの競馬。2着は最高の仕事をしたと言えます。この辺りの見極め含めて菅原騎手はやはり中長距離上手いです。4着スマートファントム、5着ワープスピードも後方待機がはまった形。
先行勢の中では良く踏ん張って6着のサヴォーナ。今年は目黒記念、アルゼンチン共和国杯、京都大賞典あたりに出てくれば先行して横綱相撲も可能なのでは。
タスティエーラも概ね見立て通り、これが現状なのでしょう。
ドゥレッツァは昨年のタイトルホルダー同様無理せず引いた形だと思われるので、この一敗で見限るのは早計だと思います。