【1】中山が下手すぎる訳

今年の中山の回収率がここまで12%と、負債の一切合切を担っております。

去年の成績も調べたのですが…32%。

断然の最下位でした。

※的中率は上振れ下振れの範囲内だったので考慮しません。


金額としても断然なので「当たらないのに突っ込んでしまいがち」という事です。その要因を洗い出してみました。

①私が基本的にG1や重賞をメインに馬券購入している事。

②上級レースの多い本場開催である事。

③信頼度の高い中山巧者を軸に勝負しやすい競馬場である事。

この3点が挙げられます。


外すパターンとしては…強い中山巧者がいて、頭数少な目の別定G2。信頼の軸。相手3~5点。自信のレース。掛け金ドン。ヒモ抜け。軸がまさかの○着。2頭軸の内の1頭が飛んだ。

これの繰り返しなんですねえ…。


AJCC、中山記念、弥生賞、スプリングS、日経賞、セントライト記念、オールカマー。

簡単そうなのに当たらない。


そんな時良く聞く言葉が

「今日の馬場状態だと~」

です。


それを言われると、事前購入予想組は厳しいんですよね…。


当日の馬場状態(良~不良だけでなく、内外のトラックバイアスも含みます)…正確には「発走時の馬場状態を加味した展開、コース取り」が、着順に大きく左右される競馬場という事です。年に数日は「強風」による影響もあります。


馬券上級者は「馬体重」「パドックでの気配」「リアルタイムの馬場状態」まで加味するので、発走直前まで買い目を突き詰めます。

事前購入してしまう上級者未満と、上級者の差が、如実に表れるのが中山競馬場なのではないでしょうか?

古い格言ですが「馬券上手い人は中山が上手い」とは良く言ったものです。


馬場状態が結果に影響しやすい要因としては、中山競馬場がJRA全場で最もアップダウンが激しく、馬場も力のいるタフなコースである事が挙げれらると思います。おそらく力尽きてしまうパターンが多いのかなと。


分かりやすいのが2歳戦の芝2000の未勝利~OPです。毎年圧勝する馬が出て来るのですが、次走以降案外だったりします。

これは、圧勝したレースは勝馬がただ普通に回って来れたのに対し「他馬がこぞって力尽きただけ」と、解釈しています。それくらい若駒にはタフなコースなのでしょう。


では、私のような事前購入者はどうすれば良いのか?

複勝orワイドを基本方針とし、変に色気を出さない。追加の3連複で予期せぬ穴馬が引っ掛かった時だけ大きなプラス。これに徹するのがベターではないでしょうか?


【2】芝1600 1.30.3

タフなコースのイメージのある中山競馬場ですが「芝1600の世界レコードを保有する競馬場」という相反する面を兼ね備えています。

これは2019.9.8京成杯AHでトロワゼトワルが記録したタイムで、2着馬を0.6秒突き放す圧勝劇でした。

例年この9月の第4回開催が、中山競馬場で最も速い時計の出る開催です。

とはいえ京成杯AH自体の勝ちタイムは、この30年間概ね1.33秒台前半~1.32.0±0.2~0.4あたりで推移しており、ジワリと平均タイムを上げている程度です。

1.30.3が突出して速いタイムだった事が分かります。


では、その前のレコードはと言うと…

2012年レオアクティブの1.30.7です。

このレースはミドルペース判定で、内を突いた差し馬がワンツー。それでいて驚愕のタイムが出たというレースでした。詳細は省きますが、このレースの上位3頭はその後勝鞍はありません。


とりわけ勝ったレオアクティブの適性距離は、全競走成績から推察するに1400だったように思われます。インを回ってイン差した距離ロスゼロの競馬を出来た事が勝因でしょう。


では世界レコードを叩き出した2019年がどんなレースであったかと言うと…

トロワゼトワルが軽ハンデを味方に逃げ切ったレースです。2、3着馬も前に行った組なので、要するに行った行ったの競馬です。

これは基本的にあまりレベルが高くないレースで起きやすいパターンです。

「世界レコードだけどレベルは高くない」という矛盾を抱えたレースなのです。


でも2、3着をぶっちぎってるので「めちゃくちゃ強いじゃんトロワゼトワル!」と、言いたくなる所ですが…その後の主な成績は翌年のヴィクトリアマイル4着、関屋記念2着、京成杯AH連覇。以上です。

そこまで強い馬ではないのです。速い時計の出る軽い芝で、スピードに任せて粘り込むのが好走パターンです。

同コースで行われる暮れのターコイズSは二年連続で大敗しています。コースは同じでも、冬場でタフな馬場になっているからです。力尽きてしまうのです。


連覇した2020年は1.33.9と、一転して近年では最も遅いタイムでの前残り決着だったりします。4着には前年3着のジャンダルムが入っています。


この2019-2020の結果からピックアップするのはジャンダルムです。
ジャンダルムは後に春雷S(L)、オーシャンS(G3)、スプリンターS(G1)と中山1200を3勝してG1馬となります。実は短距離適性の高かった馬です。

このジャンダルムと、レオアクティブから導き出される結論としては…超高速中山になった時は、適性距離が一階級下のスピード馬が、そのまま好タイムで走り切れてしまうくらい、圧倒的に走りやすく軽い馬場となるという事です。
ここまでの馬場になると、アップダウンでスタミナを削られにくくもなるのかもしれません。

そしてこの超高速決着というのは、「中山競馬場においては参考外の結果」という可能性を孕んでいるという事です。

尚、両日ともに芝1200の条件戦で1.07前半の高速決着が発生しており。馬場が味方したレコードタイムというのは確定的です。

まとめ
①中山競馬場は希に超高速馬場になる。
②距離を克服しやすくなる。
③最後の坂でも止まらない。
③この結果は後に繋がらない。
これらを総合すると…

今年の皐月賞の結果どうなの?

と、繋がる訳です。


コスモキュランダ、シンエンペラー、レガレイラの着順を見る限り、皐月賞までの勢力図考察は大きく外してなさそうなんですよねえ…。

レコード決着だったからレベルが高い…という声が上がっていますが、はっきり言って疑問符が付きます。


【3】今年の皐月賞当日の馬場状況

スローペース判定の芝2000(2勝クラス)で、逃げ馬が1.58.2でクビ差2着。
しかもこの馬、前走まで追い込みだったので、馬場を読んでデムーロ騎手が逃げたのだと思います。なんせ1.8倍背負ってましたから、この日の馬場で末脚勝負よりは…と。

他にはミドルペース判定の芝1200(LH)で1.07.1も出ています。


これは2012年、2019年の京成杯AH当日と同等の、突出した高速馬場であったと断定出来ます。

もう1つ、高速馬場で距離克服の根拠に繋がりそうなのが…

皐月賞直前の芝2500(3勝クラスH)
勝ったセイウンプラチナは勝鞍は1800のみ。
3勝クラスでも2200~1800で逃げて着外を繰り返していた馬です。一気の距離延長がプラスに出る可能性は低かった筈です。ところが逃げ切ってしまった。(win5で悩んだ末に外したので、強く印象に残ってます)
若手の原優介騎手から長距離戦の鬼である武豊騎手への乗り替わりも効いているでしょうが、「距離適性を凌駕して前が止まらない馬場だった」という根拠の裏付けにはなると思います。


これらの状況証拠から、1600~2000の距離適性であったジャスティンミラノとジャンタルマンタルが、2000~2400の距離適性の馬たちや、時計に限界のある馬たちを、スピードと馬場を味方に、前々の競馬で封じ込んだレースだったという仮説が成り立ちます。

仮説が正しければ、この上位2頭は更なる距離延長となる2400のダービーでは、相当危険な馬に化ける可能性がある訳です。

はたして仮説が通用するのでしょうか?


検証していきましょう。


【4】中山競馬場の勝ちタイムに見る傾向

※中山競馬場は2000年~2004年の間にレコード更新が繰り返されて、主要コースの芝1800、

2200、2500のレコードは今も破られずに残っていたりします。

主な要因としては、サンデーサイレンスが起こしたスピード革命に起因しているとは思いますが…並行してJRA が馬場の高速化を押し進めていた可能性が高いのです。


芝1800 2004年

中山記念 サクラプレジデント 1.44.9


芝2200 2004年

セントライト記念 コスモバルク 2.10.1


芝2500 2004年

有馬記念 ゼンノロブロイ 2.29.5


その破られていないレコードは全て2004年で、明らかに馬場が他の年とは違っていたとしか言えません。この年を起点に過去20年間を参考とします。


2005年以降、皐月賞のレコードが更新されたのは4回。

2013年ロゴタイプ 1.58.0

2016年ディーマジェスティ1.57.9

2017年アルアイン 1.59.8

2024年ジャスティンミラノ 1.57.1

勝ちタイム傾向:右肩上がりで速くなっている。稍重以上の開催も多いのでサンプル数は若干少なめ。


対して古馬の重賞はどうかというと…


先述の京成杯AHは2回。

2012年レオアクティブ 1.30.9

2019年トロワゼトワル 1.30.3

勝ちタイム傾向:1.33秒台前半~1.32.0±0.2~0.4あたりで推移しており、ジワリと平均タイムを上げている程度。


同距離の中山金杯は2回。

2009年アドマイヤフジ 1.58.4

2015年ラブリーデイ 1.57.8

勝ちタイム傾向:基本的に2.00台~1.59台でずっと推移しており、レコード年のみ突発的に速い。


皐月賞に近い距離で、好メンバーの揃う中山記念は0回。タイ記録が1回。

2021年ヒシイグアス 1.44.9

勝ちタイム傾向:1.47台での決着が大半で、次は一気に1.46前半に飛ぶ二極化。

2019年ウインブライト 1.45.5

この年も突出して速い年だったと言える。


古馬の重賞に関しては、どのレースも勝ちタイムは安定しており、何らかの理由で突発的に速いタイムが出た時=レコードというのが傾向です。


日本馬はサンデーサイレンスの起こしたスピード革命により、欧米に追い付き、生物としての到達点に達したというのが私の持論です。

2004年の高速馬場年に、サンデーサイレンス産駒の出したコースレコードを更新出来ていないというのは、非常に腑に落ちる結果なのです。


ではなぜ皐月賞だけ右肩上がりなのかと言うと…育成技術の進歩で、3歳春時点で発揮出来るパフォーマンスの上限値が上がって来ているという事だと思われます。


また古馬のレースを差し置いて、3歳春の皐月賞でコースレコードが出る理由としては…中山2000は皐月賞以降1勝クラス2勝クラスと下級条件で使われるコースとなります。3勝クラスもハンデ戦の初富士Sと美浦Sの2レースしかなく、オープン以上となるとハンデG3の中山金杯しかありません。施行時期も速いタイムの出ない年明け開催と、比較対象が無いに等しいのです。


中山競馬場の芝2000の最高峰は皐月賞であり、ここでしかコースレコードは更新されない仕組みになっており、必然とも言えます。


唯一対抗出来るのが3歳牝馬限定の紫苑S。こちらは速いタイムの出やすい時期のレースという事もあり、最近はスローペース判定でも1.58前半で決着しており、高速決着への対応が求められる傾向が強まっています。

近年は重賞に格上げされた事により、強い牝馬も出てくるようになりましたが、全体のメンバーレベルは皐月賞とは比べるまでもないでしょう。紫苑Sでレコード更新されては困るから、皐月賞を高速馬場に…というのは陰謀論ですが。


繰り返しますが、時計というのは基本的に「馬の力<馬場」です。

次の項でようやく本題に入りますが、根拠は積み重ねてナンボなのでお許し下さい。


【5】皐月賞レコード決着年のダービーとの相関関係


2017年

皐月賞

1着アルアイン③④⑤⑤(ダービー5着)
2着ペルシアンナイト⑮⑮⑤⑤(ダービー7着)
3着ダンビュライト⑥⑥⑤③(ダービー6着)

ダービー

1着レイデオロ(皐月賞⑯⑯⑯⑭5着)

2着スワーヴリチャード(皐月賞⑥⑨⑪⑩6着)

3着アドミラブル(青葉賞1着)


皐月賞はミドルペースで4角5番手以内が1着~3着独占→ダービーでは5着~7着。

アルアイン、ダンビュライトはその後好走は2200まで。ペルシアンナイトは1600~2000。

2400は明らかに長かった組が皐月賞上位を占めたという事は確定的です。


ダービーは皐月賞後方待機から差し届かなかった馬が上位+青葉賞。


この年の皐月賞は前が止まらない馬場が味方したが、ダービーは馬場が味方しなかった後方待機組が逆転したという構図と言えるでしょう。

ただし、6頭中4頭が古馬G1を勝っており、1頭は古馬別定G2勝ち、1頭は未出走。レベルは高かったと言えます。


2016年

皐月賞

1着ディーマジェスティ⑭⑭⑫⑩(ダービー3着)

2着マカヒキ⑰⑰⑮⑬(ダービー1着)

3着サトノダイヤモンド⑧⑧⑨⑤(ダービー2着)

4着エアスピネル⑤⑥⑥③(ダービー4着)

5着リオンディーズ②②①①(ダービー5着)


この年は皐月賞上位5頭がそのままダービー上位5頭。

皐月賞はミドルペース判定だが、実際にはハイペースに近く、リオンディーズとエアスピネル以外の先行勢は大きく遅れて16着~18着と前崩れ気味。残った2頭はG1級のマイラーだった。

2017年同様、皐月賞後方待機組がダービーでも上位を独占している。


この年は馬場<ペース。リオンディーズが暴君じみたレースをした結果。

おそらく抜けた世代最強だった同馬が気性難で、ダービーでも力を発揮仕切れず引退。

サトノダイヤモンドがG12勝しているが、勝ったのは菊花賞と、斤量有利の有馬記念。

皐月賞が前崩れは低レベル濃厚。リオンディーズ以外レベルが低かった年の可能性が高いです。


2013年

皐月賞

1着ロゴタイプ⑦⑦⑧⑤(ダービー5着)

2着エピファネイア⑦⑦⑤③

3着コディーノ⑤⑤⑤⑤(ダービー9着)


ダービー

1着キズナ(京都新聞杯1着)

2着エピファネイア

3着アポロソニック(青葉賞2着)


この年はハイペース判定にも関わらず4角5番手以内が上位を占めた。ロゴタイプは得意距離が1600~1800とバンドの狭い馬。コディーノもその後未勝利と、馬場が味方した年の可能性が高い。ダービーでは当然の馬券外と言える。


ダービーではトライアル組が2頭も入る結果で、世代のレベル的にも疑問。

本来エピファネイア一強で三冠を取るべき年だったかもしれません。


ではここでもう1年、明確に高速馬場だった確証のある2004年を見てみましょう。

皐月賞

1着ダイワメジャー②②②②(ダービー6着)

2着コスモバルク⑥⑦④⑤(ダービー8着)

3着メイショウボーラー①①①①(ダービー未出走)


ダービー

1着キングカメハメハ(NHKマイル1着)

2着ハーツクライ(京都新聞杯2着)

3着ハイアーゲーム(青葉賞1着)


この年はミドルペースで、前年のレコードと0.1秒差の1.58.6。名前を見ただけで分かるレベルの1600~2000の名馬が、馬場を味方に押し切れたというレース。ダービーでは当然馬券外。メイショウボーラーに至ってはNHKマイルに向かっており、ダービーには出走しすらしていません。


そのダービーはと言うと、上位3頭は全て非皐月賞組という異常事態となっています。


上記4年の結果から、皐月賞レコードの年の傾向として導き出されるのは…

①普通にレベルが高い可能性はある。

②4角5番手以内で馬券に来た馬を、ダービーで軸にするのはかなりの危険を伴う。

③上位にNHKマイルに向かうようなマイラーが来ていたら、より危険度が増す。

④ダービーで確実性が高いのは、差して掲示板付近までは来ている馬。

⑤2200-2400の距離実績のあるトライアル組の台頭が濃厚。


以上になります。


今年に関しては…

①はいずれ歴史が証明する事


3着ジャンタルマンタルがNHKマイルに向かうので②③は該当する見込み。


④が熱い。

コスモキュランダ、アーバンシック、シンエンペラー、レガレイラ、エコロヴァルツまで。


⑤なら基本は上がり1位で勝っている馬。逃げて勝っているか、勝ちに等しい競馬した馬。


ダービーの買い目が見えて来ましたね?


※これを書いてる時点ではウインマクシマムのダービー逃げ切りを本命視していたので、青葉賞の結果は残念でした。パワーホールがいなければ違ったかなと。

高速馬場の2004年から20年。コスモバルクから20年です。コスモキュランダとウインマクシマムの岡田勢ワンツー、時代に反旗を翻すロマン馬券、買いたかったですね。現状コスモキュランダがダービー馬最右翼だとは思っていますが。ここ2戦断然の内容ですし、東京でも十分やれそうだけど…モレイラ乗らないのかな?