「高次脳機能障害とは、命と引き換えに大事なものをおいてきた障害のことである。」

というのを、何かの記事で読みました。

夫の入院中、主治医から、何度となくこの障害のことを聞いていたのですが、その時はあまりピンときていませんでした。

「夫に限っては、そんな心配は要らないかもしれない。」

と思っていました。

ところが、約7ヶ月の入院生活を終え、晴れて一緒に生活を始めて、初めてこの障害に直面することとなりました。

・急に表情が曇り、機嫌が悪くなる

・以前は出来ていた(むしろ得意だった)作業(パソコン、番組録画、機械いじりなど)にミスが  多くなる

・自分自身のことを楽観視し過ぎる

・疲れやすい

・忘れっぽい

・言動が子どもっぽい

などの症状に気付きました。

脳出血で倒れた直後は、

「命が助かって良かった。」

という気持ちでした。

しかしながら、これらの症状に気付いてからは、これからの生活のことを考えると、言いようのない不安がおし寄せて来ました。

「夫は夫であるが、以前の夫ではない。」

という複雑な思いの中、とにかく出来ることを探して、毎日必死でした。

 

退院して、まもなく1年9ヶ月になろうとしています。

夫は、ずいぶん落ち着いて、社会生活に適応して来ています。

医師によると、「回復」ではなく、「適応」だそうです。

近場なら、車の運転も出来るようになりました。

(これに関しては、慎重に慎重を重ね、警察署、運転免許センター、病院を何度も訪れてやっと、免許証変換までこぎつけました。)

パソコンの入力作業も積極的に行っています。

番組録画も、当時のように同じ番組が何回も録画されているということはなくなりました。(笑)

とにかく誰かと日常生活を送ることが、薬になるのかもしれません。

次第に私の気持ちも落ち着いてきました。

現在、当時を振り返って家族で話すと、退院直後の子どもたちの気持ちはずいぶん複雑だったようです。

「もう、前のお父さんには会えないんだ。」

と思ったそうです。

「あの時、もっと吐き出させてあげたら良かった。」

という反省の気持ちもありますが、

「みんなよくがんばってくれた。」

という労いの気持ちのほうが、今は強いです。

 

これからも高次脳機能障害とは向き合っていかなければなりません。

お互いに、イライラすることもまだまだあります。

そんな時は我慢をしないで、 

「今、腹が立ってる。」

と気持ちを認めるようにしています。

そして、夫をはじめ家族皆に感謝と敬意を表し、何より一番に自分を労いながら、日々を過ごして行きたいです。