久しぶりに図書館で物語本を借りた。


予約もできて無料で読ませていただいて本当にありがたい。しかも、ネットでほしい本を検索するのと違って図書館に並んでいる本を見て、同じ棚に入ってる他の本も目に入る。そこで出会う本が面白かったりして嬉しい。


『きみはいい子』中脇初枝さん著



いろいろ抱える子や大人のそれぞれの物語。


どうにもできないところもあるけど、どこか優しさがあるところに触れて涙を流しながら読んでいた。


私はありがたいことに幼少から家族や周りの人たちにとてもよくしてもらった。おもちゃはそんなに買ってもらった記憶はないけど、衣食住何不自由なく、習い事もさせてもらったし色々応援もしてもらった。


大学生のとき親友と長い春休みの1ヶ月半くらい、長野県のスキー場で泊まりがけのアルバイトに行ったことがある。全国から同年代の子たちが同じようにバイトに来ていて、早朝と夕方以降は働いて、日中はみんなでスノーボードをしていた。合宿みたいでとても楽しかった。


そのメンバーの中に大阪から来ていた男の子2人がいて、はじめ雰囲気が怖く感じた。でも年下のその2人は話すととてもいい子たちだった。


 みんなでいろんな話をした。


でもその2人はそんなに話してなかったかな。

それでも地方の私でも名前を知ってる大阪のエリアで育ったと話してくれた。


 聞くこと聞くことがどれもびっくりすることばかりで、本当かな??と思うくらい。

2人はあっけらかんと話してくれてたから。



「児童養護施設って聞いたら、かわいそうって思うやろ。


でも、違うんやで。


あそこは天国や。」




天国??


「だって、ご飯を3食ぜったい食べれんで。お風呂も入れるし。宿題しろって言われるのはうざいけど、職員さんたち真面目に働いてくれよるし」



「って、俺は行ってないけどな。


行ける方がマシなんや。ハハハ」




その他の色んな話を聞いても理解できないことが多かった。「なんで?」と聞きたと思う。



ふと目力の強いRくんが言った。




「Aちゃん(私)には、



言ってもわかんないと思う」





えー、聞きてみないとわかんないじゃん。と思った。そう言ったのかな。




Rくん

「何不自由なくぬくぬくと育ってきたAちゃんには、





一生わからない。」



と言われた。



一生わからない…。



Rくんに怒られたわけでもない。

でもちょっと悲しいような残念なような気持ちになった。


言葉が出てこなくて黙っていた。




「でもそれでいいんやで。


そんなん、


わからん方がいいんやで。」



ちょっとだけ柔らかく、大人が子供を穏やかに諭すように。




当時、たしかRくんは17歳か18歳だったと思う。



Rくんはスノボーが上手だった。

初心者の私にもよく教えてくれた。



***


本を読んだりテレビや映画を見て、私はよく泣いている。


本当は1人で本を読んだりテレビを見たりしたいけどそうもいかない。


ティッシュ片手に目と鼻を赤くしている姿を見て、子供達は100%笑う。


なぜ。



今日はこたつで本を読んでいて、涙を拭いたティッシュがこたつの上に山盛りになってきた。


ちょっときたないかなと思って一まとめにして後で捨てようと思って置いていた。



こたつに入ってきた娘。


私とティッシュを見て、


「何、そのマリトッツォ。笑」



「マリトッツォ…。なんか懐かしいね」



最終的にマリトッツォ3個。


今日も平和。

ありがたい。