平野啓一郎の三島由紀夫論を読み終えたところで、三島の代表的な戯曲を読み直してみました。

これら2作品は、巻末の自作解題によると、対の作品とされています。女性だけが登場する「サド侯爵夫人」は美と悪について、男性だけが登場する「わが友ヒットラー」は勇と信について、三島らしい煌びやかなセリフまわしで語られています。

いずれの作品もなんども劇場上演されているのですが、感心するのは、役者さんはこの長いセリフをよく覚えられるものだ、ということです。映画やTVドラマではこれほど長いセリフは無いでしょう。
新劇の役者さんって、表現力だけでなく、記憶力も秀でていないと出来ない仕事だなと思った次第です。

三島は、「わが友ヒットラー」のレームに肩入れしていると自分で書いていますが、言われなくてもその肩入れがよくわかります。このレームは、清々しくも三島らしい。

「鹿鳴館」、「熱帯樹」など三島戯曲は数多いですが、この2作は三島らしさが存分にみられる作品だと思います。

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p.s. あっという間に8月になってしまった。