昨年の11月くらいだったか、外出したときに電車の中で読む本を探して本屋をぶらついていて、ふと目にした一冊。

短篇のイメージとは真逆の、この分厚さに惹かれました。

こちら内容紹介。

大江健三郎の作品はあまり読んでないので読んでみよう、と買ってみたのですが、いやあ、かなり時間かかった、一冊読み終わるまで2か月近くかかりましたよ。

初期作品はそうでもなかったのですが、中期作品からは難解さを感じると共に、慣れない文体なので、文章の中に入っていくのに苦労することしばしばでした。

初期の作品。
単に過去の作品を集めただけでなく、書き直しがされているとのこと。
表紙は校正された文章の画像がありますが、これは「空の怪物アグイー」の校正だそうです。

初期の作品は、角が立ったというか、寄らば斬るぞ的な近寄りがたさと、鬱屈したパワーを感じるような気がしました。若い頃に読んだら刺激的だろうなという作品が多かった。とくに「セヴンティーン」は凄みを感じる文章です。

中期作品。
障害を持って生まれた長男、光氏に関する作品が多いです。
小説よりもエッセイに近いように感じながら読みました。

雨の木の連作は幻想的な雰囲気で、他の連作は内省的な内容も多く、読むのにかなり骨が折れました。特に、マルカム・ラウリーやウィリアム・ブレイクの引用がしばしば登場するのですが、これらの作家の作品に対する理解が無い(いずれもわたしは知らない作家だった)と、しっかりと読み解くのは難しいと感じました。

後期短篇。中期ほど抽象的な表現が多くないため、比較的読みやすかったけど、それでも時間かかった。

初出一覧。

後期作品は、60代後半のものです。

この一冊を機に、もっと大江作品を読んでみようという気になっていますが、とりあえず他に読みたい本があるので、それ以降に気が向いたら(気力が充実してたら^^;)。

書誌事項。

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