カドモス 出典:Wikipedia
カドモスは、ギリシャ神話に登場する人物です。
テュロスの王アゲノルとテレパッサとの間に生まれました。
兄弟には
キリクス、ポイニクス、エウロペがいます。
またタソスと異父兄弟です。
妻ハルモニア(父アレス・母アプロディテ)との間に
ポリュドロス、セメレ、イノ、アガウエ、イリュリオス、アウトノエ
をもうけます。
エウロぺの捜索
ゼウスがカドモスの姉妹であるエウロペをさらったとき、父アゲノルは息子たちをエウロぺ捜索のために旅立たせ、エウロペを見つけるまで帰ってくることを禁じました。
このときカドモスは母テレパッサとともに船出してロドス島、テラ島と経由してトラキアに到着していました。
この地でテレパッサが死んだため、カドモスはデルポイまで赴いて今後の方針について神託を伺いました。
神託のお告げは
「エウロペを探すことはあきらめ、一頭の雌牛のあとをついてゆき、その牛が倒れたところに都を立てよ」
というものでした。
泉の大蛇退治
カドモスは、デルポイからポキスに通じる街道で、牛飼いたちに出会ったので、白い満月の模様のある雌牛を彼らから買い取り、一度も休ませずに追い立て、お告げ通り、そのあとをついていきました。
雌牛はやがて疲れ果てて倒れたので、カドモスはその地にアテナの像を建て、牛を生贄にするために配下の者を近くの泉に水汲みに行かせました。
しかし、その泉はアレスのもので、泉の番をしていた大蛇にカドモスの部下たちは殺されてしまったのです。
怒ったカドモスは岩で大蛇の頭を打って殺しました。
生贄を捧げると、アテナが姿を現してカドモスの行為を誉め、大蛇の牙を地中にまくよう告げます。
カドモスがいわれたとおりにすると、地中から武装した男たちが飛び出してきました。
カドモスが彼らの真ん中に岩を投げつけると、男たちは交互に殺し合いを始めました。
最後まで生き残った5人がカドモスに忠誠を誓い、彼らはスパルトイ、すなわち「播かれた者たち」と呼ばれました。
アレスが大蛇を殺した罪の償いを求めたので、カドモスは8年の間、アレスの奴隷として過ごすことになったそうです。
ハルモニアとの結婚
そののち、カドモスはアテナに改めてボイオティアの土地を与えられ、この地を自分の名前にちなんでカドメイアと名付けます。
のちのテバイです。
この地でカドモスは、アレスとアプロディテの娘ハルモニアと結婚式を挙げました。
カドモスとハルモニアの結婚式はオリュンポスの神々が参列した、初めての人間同士の結婚式であり、すべての神々が贈り物を携えてカドモスの家を訪れました。
アプロディテは、ハルモニアーに黄金の首飾りを贈りました。
アテナは黄金の上衣と一組の笛を贈りました。
ヘルメスは竪琴を贈りました。
アプロディテの首飾りはヘパイストスが作ったもので、もともとゼウスがエウロペに贈ったものだが、これを身につける者は、見る者が悩ましくなるほどの美しさが得られたと言います。
アテナの上衣もまた、身につける者に神々しい気品を与えたと言います。
カドモスとハルモニアは子宝に恵まれ、アウトノエ、イノ、セメレ、アガウエの4女、末子ポリュドロスが生まれました。
しかしカドモスの娘たちやその孫たちを多くの不幸が襲い、カドモスは深く悲しみました。
娘のセメレはゼウスの子ディオニュソスを身ごもったためにヘラの怒りを買ってしまいます。
セメレはヘラの策略でゼウスの本当の姿を見たいと望んみましたが、本当のゼウスを見たセメレは落雷の炎で絶命してしまいます。
ディオニュソスを預けられたイノもまたヘラの怒りによって気が狂い、わが子を殺して海に身を投げてしまいました。
アウトノエとアリスタイオスの子アクタイオンはうっかりアルテミスの水浴姿を見てしまい、アルテミスの呪いで殺されてしまいます。
さらにアガウエとスパルトイの1人、エキオンの息子ペンテウスはテバイの王位を継いだが、ディオニュソスによって狂気にされた母アガウエや叔母たちに殺されてしまいました
なんてかわいそうな
その後の人生
老年になったカドモスは、アレスの怒りがまだ完全に解けていないことを知り、テバイの王位を退いて、ハルモニアとともにエンケレイス人の国へ向かいました。
エンケレイスの国は、イリュリア人によって攻められており、ディオニュソスの神託に従い、カドモスとハルモニアが指導者に選ばれました。
アガウエはペンテウスの死後、イリュリア王リュコテルセスのもとに逃れて王妃になりますが、父カドモスが敵方エンケレイス人を率いていることを知ったアガウエは今度はリュコテルセスを殺し、イリュリアの国を父に献上しました。
カドモスとハルモニアは最後には大蛇になり、ゼウスによってエリュシオンに住むことを許されたと言います。
今も昔も、権力争いってすごいわねぇ