ギリシャ神話に登場するフェニキア王のキニュラースは、実の娘であるミュラに思いを寄せられていました。
それは、一族の誰かが「ミュラは女神アプロディテよりも美しい」と言ってしまったのを聞いたアプロディテが激怒し、ミュラが実の父であるキニュラースに恋するように仕向けたからだっだのです。
なんと恐ろしい
思い悩んだミュラは、自分の乳母に気持ちを打ち明けました。
彼女を哀れんだ乳母は、祭りの夜に二人を引き合わせました。
なんでそんなことしたの乳母ちゃん
顔を隠した女性が、まさか12歳の娘、ミュラとは知らずキニュラースは、娘と一夜を共にしました。
そこは、父ちゃん 気づいてよ
と、言いたいところですが…
しかし、その後、明かりの下で彼女の顔を見たキニュラースは、それが自分の娘のミュラだと知ってしまいました。
怒った父はミュラを殺そうとします。
ミュラは、アラビアまで逃げ延びます。
しかし、疲れ果てた先で自分の境遇に絶望した彼女を哀れに思った神々は、ミュラをミルラ(没薬)を滴らせる木に姿を変えました。
そして、その木からアドニスを産みました。
そのアドニスに愛の女神アプロディテが恋をしちゃいました。
アプロディテは赤ん坊のアドニスを箱の中に入れると、ペルセポネに預けました。
この不幸な環境で産まれたアドニスの養育を、愛の女神アフロディテは密かにペルセポネに頼みました。
彼女はペルセポネに、けっして箱の中を見るな!と注意をしました。
が、ペルセポネは好奇心に負け、箱を開けてしまいました。
すると、その中には美しい男の赤ん坊のアドニスが入れられているではないですか!
彼を見たペルセポネもアドニスの美しさに魅了され、愛するようになってしまいました。
こうしてアドニスは、しばらくペルセポネが養育することになりました。
アドニスが少年に成長し、アプロディテが迎えにやって来ました。
しかし、ペルセポネはアドニスを渡したくなくなっていました。
2人の女神は争いになり、ついに天界の裁判所に審判を委ねることにしました。
そこでゼウスは1年の1/3をそれぞれアプロディテ、ペルセポネと暮らし、残る1/3をアドニスが好きなように使うよう決めました。
しかし、アドニスは自分の時間を全てアプロディテと共に過ごすことを望みました。
ペルセポネは、アドニスのこの態度に、大いに不満でした
アドニスが自分よりもアプロディテを選んだことが気に入らなかったペルセポネは、アプロディテの恋人である軍神アレスに、
「あなたの恋人は、あなたを差し置いて、人間なんぞに夢中になっている」と告げ口をした。
これを知ったアレスは、獰猛な猪に変身して、アドニスを殺してしまいました。
この時アドニスが流した血から「アネモネ」が生まれ、アドニス死を悲しみアプロディテが流した紅涙が白薔薇を赤く染めたと言われています。
*諸説あり
出典:Wikipedia
1554年の絵画『ヴィーナスとアドニス』。
プラド美術館所蔵。