<前回までのあらすじ>
大雪の日、電車も動かず、タクシーにも見放され、駆け込んだファミレスは午前2時まで。
ファミレスを追い出された僕は、繁華街に向かって1駅先まで歩こうと決意した。
が、何を勘違いしたか、間違って反対方面の駅に向かってしまった。
慣れない雪道に体力も精神も限界。
この先一体どうなってしまうのか!?




ああ…このまま雪に埋もれて死んでいくんだ。
きっと雪解けとともに発見されるんだ。
そんなことを思いながら僕の意識は朦朧としていた。


携帯は今より、たいして普及していない時代。
ましてやiPodなど言語道断。


僕は当時、CRAPというバンドを組んでいた。
(その後、このバンドは約7年ほど活動後解散)
今でこそインディーズバンドのデモ音源はCD-Rが当たり前だが、当時はまだテープやMD。
そして僕のバンドは、ちょうどデモテープを作成したばかりだった。

この雪道を歩きながら聴いていたのは、この自身のバンドのデモテープ。
2曲だけだったが、それをずっとリピートしていた。
薄れていく意識の中、ちょうどこのテープの2曲目が流れだした。


ブルージーなベースから始まり、それを切り裂くノイジーなギター、そして「WAR&WALK!!」と叫ぶボーカル。
このバンドを組んで初めて作った曲「WAR&WALK」だ。

そうだ。
歩くんだ。
歩かなきゃ。
歩け。
歩け。
歩け。

僕は自身のバンドに励まされ、再び歩きだした。

何度も何度も同じ曲をリピートしながら。
泣きながら。
鼻水垂らしながら。
歯をくいしばりながら。

さらに倍の時間をかけ、また元の場所へ戻った。

途中、コンビニの明かりを見つけホッとした。
ああ…僕はまだ生きている。
まずは、そのコンビニを目標に歩いた。

あと少し。
あと少し。
あと少し。

もう残り数メートルの時には最後の力を振り絞るかのように、歩くどころか、走った。

暫くコンビニにで暖をとり、この後どうするか考えた。


近くに会社の先輩が住んでいる。


初めから、この先輩を頼ればよかったと言われればそれまでだが。
僕はこの先輩、かなり苦手だった。
だが、背に腹は変えられない。
始発電車が動くまで暖をとらせてもらおう。

携帯を持っていなかった僕は公衆電話から先輩の携帯へ電話をかけた。




出ない…。
この時、すでに朝方4時くらい。


そりゃ先輩寝てるよな。

しかも、この当時の携帯なんて誰からかかってきたかなんて、分からなかったと思う。
分かったとしても、こんな朝4時の公衆電話からの着信なんて出ないよな。


まぁ薄々わかっていたが、電話に出ない先輩に苛立ちを感じコンビニでホットコーヒーを買い飲み干した。
よし、先輩宅へ直接行こう。

(続く)


☆SHIN☆