ニューヨークに住んでいたころは、シーズン中毎週のように行っていたメトロポリタン・オペラ(MET)。



仕事帰りにCity(マンハッタンの事)まで車を飛ばして、7時以降駐車解禁になる68丁目のリンカーンセンター付近にストリート・パーキングして、開演の8時とか8時半までに軽く夕飯を食べるのが習慣だった。

でも帰国してからはなかなかシーズン中にNYに行くことがなく、今回実に10年ぶりのMET。
事前にウェブ (http://www.metoperafamily.org/metopera/ )からチケットを予約できるので、NY滞在の日程にあわせてスケジュールを調べると、ラッキーな事に2月1日は大好きなLa Traviata(椿姫)をやっているではないの!!
懐かしさとうれしさで気分もうきうき

10年ぶりにびっくりしたことと言えば、チケットの値段がかなり上がっている。
やっぱりバブルのNY、物価高はもちろんこんなところにも影響しているのね。。。

今回予約が取れたのはDress Circleなので、入り口を入って2階上がる。
各扉ごとに係員がいて、最寄りの扉でチケットを見せると引き替えにその日のプログラムをくれることになっている。
ここにその日の演目のストーリーや配役が載っているのだけど、なんと、この日は主役のヴィオレッタとアルフレード共に韓国人の歌手だ。
アジア人が2人も、しかも主役級で出演するとは

そして開演。


幕が上がった途端に会場からはため息と拍手が・・・。

そう。METの素晴らしさは世界中から才能溢れた歌手が集まるだけでなく、その豪華な舞台装置


その色彩と装飾の美しさ、調度品の豪華さには心底うっとりする。

1幕目はヴィオレッタの屋敷でのパーティー、2幕目はパリ郊外の田園の中の家、いずれも1シーズンの舞台装置とは信じがたいほどの完璧なセットだ。


さらに3幕目は末期のヴィオレッタが床に伏しているが、アルフレードの登場と共になんと2階から1階へと上下がエレベーターのように動く。何という仕掛けだろう!

そして主役のViorettaを務めた歌手のHei-Kyung Hongはアジア系としてはかなり貫禄もあり(太っているわけでなく)、欧米人に全然見劣りしない。

このオペラは1幕目からとにかくソプラノが歌いっぱなしのかなり大変な役柄だと思うけれど、彼女は実際素晴らしかったのです。


病弱なヴィオレッタはよく寝た姿勢で歌を歌ったりしますが、あの姿勢で高く細くかつ奥行きのある耳に心地よい声を楽々と出すなんて!!!

1幕目からカーテンコールがあり、幕間もトイレでも皆が彼女の話をしている。
そんなソプラノでした。
大好きな演目を素晴らしい演出と歌手で楽しむことが出来て、最高の夜でした。
機会があれば是非また彼女の舞台を見てみたいです。

Hei-Kyung Hong

強いて気になることと言えば、アメリカ人がいとも簡単に「BRAVO!」を連発すること。


寛大なのか、はたまた耳が肥えてないか・・・。


因みにBravoは男性形なので、女性に対しては「Brava」と言うのが正しい。
もちろんアメリカ人はそんなこと知らないと思うけれど・・・。

これもアメリカの良いところと思えば良いのだけど。


METは経済的にも潤ってそうだし、世界中から一流スターが出演するし、衣装・舞台は豪華。そして何よりもJames Levine率いるNYフィルとNYCバレエの融合で高レベルの舞台を気軽に見られるのが良い。

でもみんな、もう少し服装には気を遣おうよ・・・