うどんが2つ、テーブルに運ばれてきた。相変わらずつるとんたんのうどんは器からして大きい。
ーところで、これは何だと思う
ー”きつねのおうどん”、ですか
ーそうではなくて、それを乗っけているもの
ーお椀…ですか
ーそう…お椀ってなんだと思う
ー食べ物を乗せるものでしょうか
ー使い途という点ではそうだね。ではお椀の”可能性”とはなんだろう
ー?
ーお椀は食べ物を乗せるもの、という考えを外してみると、その形のもので何ができそうかな?
ーそうですね…お水を入れる…とか
ーバケツにするのもありだね
ー帽子にする!
ー雨が降ってもへっちゃらだね
ー大きいから…椅子にもなりそうですね…そう考えると「お椀」と名前をつけることで私たちは普段この物体の可能性が見えなくなってしまっている気がしました
ーコップは液体を飲むためのもの、服は着るもの、ホウキはちりを集めるもの、ダンサーは踊る人…機能を分かりやすくしている反面、実は可能性を潰してしまっているのかもしれない
ーなるほど…面白いですね
ー実は…
ーはい?
ータオルの可能性を追求し続けている街があるらしい」
ータオル…ですか…?
ータオルといえば?
ー体を拭くものですね
ー…飛べるんだとさ
ー?
ー空も飛べる…と豪語しているらしい
ーええ〜?
ー嘘だとは思うが…これが本当だとしたら特ダネだ…お前調べてこい
ー…分かりました!
こうして私は行くことになった。
タオルの可能性を追求し続ける街…『イマヴァリタウン』へ…