渋谷パルコ劇場にて
寺山修司作 白井晃演出 『中国の不思議な役人』を見に行く。
ものがたりを要約すると
不思議な団体さんの街に迷い込んでしまう少女とその兄
ふとはぐれた隙に
少女は拉致され、娼婦館に売りとばされてしまう。
周りの人が恐いので働いているうちに
役人が通いつめるようになり
いつしか二人は本当の愛に目覚める
何度刺してもどんな手段でも死ななかった役人が唯一死ぬ方法、
それが本当の愛を知る事だった
権力を持ち巨大な からくり人形のように生きてきた役人は
人間味ある人間として
ショーケースに入った人形のように自我を持たない少女は 愛を知り
一人の人間(女性)として変化を遂げる
人形のような人間から 真の人間へ生まれ変わり
そこに虚構(過去)としての死がおとずれるというようなお話。
「 うほーっほっほっほ 」と笑う やたら眼力が強すぎる役人
困り顔 がとてもかわいい少女(長澤まさみ似) →夏未エレナさん
頭の上からカラカラ懐かしい音色をたて 時空を自由にあやつる男
妖艶に舞う 無数の娼婦たち
突然犬に化ける 人間犬 という人間
思わず人形と間違えてしまうぐらい 微動たりともしない女
ひとりひとりが個性的なのに
寺山的情景の一部として個を無にして馴染んでいる。
音楽や歌はすばらしかったし、舞台によく似合っていた。
踊り・動きで魅せるシーンがほとんどで
もう少し、台詞や言い回しが多かったら
うれしかったなぁと思う。
あまりに動きが多かったので
逆に全員がこっちをむいて立っている「 静 」のシーンのほうが
心に残った。
無論、踊りやひとりひとりの表情も、完璧ですばらしかった。
演劇の観点でみるとフワフワしすぎてて 不思議な印象を受けるが、
見世物としては期待どおりのものだった。
個人的には 「鏡売り」さんの存在と 「切り抜き」さんの存在が
“いかにも寺山的” で好きだった。
「鏡はいらんかね~」 たけやさおだけ的な声で 鏡を背負い歩いてくる
シュールな役どころ
時に客席に向け大きな鏡をパタパタし、観客に光を照らし目をくらませる
<鏡売り>
自分の影をハサミで切り抜いて自由にさせてやろうとする
<切り抜き>
そして <切り抜き>は
本から “ 私 ”という文字を ハサミで全て切り抜いている
『見たぜ、 私を見失ってしまった小説の脇役たちが
ページとページのあいだで途方にくれているのを』
<西瓜男・台詞>
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帰り、ポスターハリスギャラリー でおこなわれている宇野亜喜良さんの60年代ポスター展と
今月出来たてのH&M渋谷店に立ち寄った。
宇野さんのポスターは前もどこかで見たような気がするが
何回みてもそそられる。
ピンバッチやポストカード、寺山修司のお面(リアル面)、本、食器 など
グッズもかなり充実してて、300円で十分楽しめた。
H&M渋谷は1~3階がウィメンズ、4階がメンズの構成になっているようで
スパンコール服や今年っぽいブラックコーディネート、ハイウエストスカート
動物プリント(犬とか虎とかがどかーんといるやつ)など種類はかなり豊富で
生地は弱そうだが、低価格で 色々なデザインを冒険できそうな様子。
下着や小物類が充実していた。
行列などはまったくなく、すんなり入れた。
結局H&Mでは何も買わず
マークシティ地下のPLAZAで 定番GlenPrinceの綺麗な色のチェック柄ストールを購入。
PLAZAではKITSONでも扱いのある DeuxLuxの ラメポーチも入荷されていた。
この日は韓国料理・吾照里(おじょり)でゴハン。
何回か行っているが、毎回メニュー “タコの踊り食い” が気になってしまう。
誰か食べた人いるんだろうか????
喉に吸盤がはりついたのを想像すると、
現実は 寺山修司以上にグロテスクだと思った。
おしまい。