本日、日経産業新聞の1面の特集「社史が会社を強くする」で取り上げられた「ヒストリエ」
サイバーエージェントの事業やプロジェクト、子会社や幹部社員に焦点を当て
事業やプロジェクトが立ち上がり成功・失敗に至る経緯や歴史をまとめたものです。
人気漫画からタイトルを借りたヒストリエは" 企業文化を記録に残す"ことを
目的に昨年7月に初めてリリースされました。
企業文化といっても、それが何を指すのか一言で表すのは難しいもの。
サイバーエージェントが今までに生み出してきた事業と、
そこに携わってきた事業責任者たちの考えや行動を通して
企業文化を伝えられるよう、関係者へのインタビューを行い
サイバーエージェントの歴史を読み物としてまとめています。
今回は、現在ヒストリエの編集長を務める若林にインタビューをしました。
私がサイバーエージェントに入社したのは2003年。
当時は社員数400人程度で、ワンフロアのオフィスに社員全員がいるため、
どこで誰が何をしているか、ということを気軽に知ることができました。
それがいまや、グループ社員数は3500人を超えます。
自身の部署以外で行われていることや、過去どのような事業があったのか、
知ることが難しい規模に成長しています。
その一方で、社長の藤田が執筆した「渋谷ではたらく社長の告白」「起業家」の2冊は
会社が成長する過程で、どのような苦しい局面があったのか、
そこでどんな決断を繰り返してきたのかを経営者の言葉で赤裸々に記録しており、
当時知り得なかった葛藤まで読んだ人は誰でも知ることができます。
このように、過去の成功と失敗を記録することで、良いものは横展開し、
そして同じ失敗を繰り返さないようにするのがヒストリエの役割だと考えています。
企業文化こそが会社の競争力であるサイバーエージェントにおいて、
それを維持するためにヒストリエが一翼を担えれば嬉しいです。
ヒストリエのテーマはどのように選んでいますか?
テーマを選定するときには、その事業の決断に「再現性があるかどうか」を考えています。
たとえば、サイバーエージェントのミッションステートメントにある
「スケールデメリットは徹底排除」という言葉。
2006年につくられたミッションステートメントを2009年に改訂した際に、
新たに追加されたこの言葉の背景にある出来事を記録したヒストリエがあります。
過去にインターネット広告事業部門において、組織規模が拡大したことにより
起きた問題と、改善するために行った組織改革の内容、
そしてその結果を詳細に記録しました。
同様な危機感を感じていたり、これから事業を大きくしていくフェーズにある
事業責任者、そこではたらく社員ひとりひとりが
このヒストリエから学ぶことは多いと考えています。
1つのテーマを制作するのにかかる期間は?
テーマを決めるための情報収集を経てテーマを決定し、
取材から完成までのの制作期間は1~1.5ヶ月くらいです。
現在は隔週でリリースをしていますので、常に複数のプロジェクトを平行して
進めています。
編集する上で気をつけていることは?
ヒストリエは、過去にあった出来事を正確に、可能な限り生々しく記録していきたいと
考えています。
そのため、複数の関係者に取材を行い、ニュートラルな記事にまとめていくことと、
大袈裟な表現にならないように事実を淡々と記録することを心がけています。
また、社内限定の読み物なので、社内でよく使われている表現などをあえて使ったり、
逆に日常で使われていない表現は使用しないようにしています。
社内で読んでもらうために工夫していることは?
忙しい業務の合間にさっと読むことができるように、1テーマ10分程度で読める
ボリュームを心がけています。
また、事業責任者やアポで外出の多い営業職の社員が
スキマ時間で気軽に読めるよう、スマートフォンアプリで読むことが
できるようにもしています。
また、改めて熟読したいという社員の要望も多いので、半年に1度書籍化をして
全社員に配布しています。
過去30超あるテーマの中で人気だったものは?
事業を立ち上げ、拡大させる過程は泥臭いもの。
それを赤裸々に語ったものや、ビジネスモデルを転換し成功させたその経緯、
社長の藤田をはじめ、関係者とどんなやりとりがあったのかなどを
生々しく記録したものは特に反響が大きいですね。
また、ヒストリエ内でのある登場人物のセリフに励まされたという感想もありました。
今後取り組みたいことがあれば教えてください
これまでにも次世代リーダー育成研修でヒストリエを活用した研修を行ったのですが、
今後は事業責任者や新任マネージャー研修、新入社員研修など、
活用の幅を広げていきたいと考えています。
また、これまでは事業と人にフォーカスしたヒストリエを作ってきたので
今後はエンジニアリーダーたちに使ってもらえるよう、技術やクリエイティブを軸にした
ヒストリエも制作し、あらゆる職種の社員に役立つような内容にしていければ嬉しいです。