演劇、落語、オーケストラを毎年順番で鑑賞するというものだ。
今年は演劇だった。
9人目の父となる男の元に母とともに越してきた少女とそこで出会った人たちとが織りなすヒューマンドラマだった。紹介パンフレットを見る限り、中学生か小学生向けの内容のように思われた。
ところが劇が始まり、最初こそ冷めた気持ちで見ていたものの、すぐに惹き込まれてしまった。幼き日に母が家を去り、酔った父に足を折られた少年。親の顔を知らず、老人に拾われた孤児。主人公に一目惚れをしたラグビー部の男の子。それぞれが己の内に抱える苦悩と向き合い、一歩一歩前を向いて進んでいく。
いつしか舞台の上の役者と共に笑い、共に涙していた。
終わった後、隣にいた友達も号泣だったと言っていた。
劇の内容も素晴らしかったが、なにより高校生になっても演劇に涙できる友と出会えたことがが素晴らしいと思った。
半端な偏差値と古臭い伝統にいつまでもしがみつく通称進学校。つまらないと思い続けて今まで過ごしてきたが、こんなところでも良いところはあるものだと、今になって思い出した。
この学校に居られるのもあと一ヶ月。一ヶ月で何ができるのか。何が変わるのか。