何年かぶりに、他の人の前でピアノを弾きました。それも、事前準備をほとんどせずに。

参加・出演される他の皆さんに対して冒涜ではないかと、とても申し訳なかったのですが、好奇心の方が強かったのです。このところ、ピアノからずっと離れていましたし、またピアノを話題とできる「人」と顔を会わせてみたいという思いがありました。

何を弾くかあまりよく考えずに、「ロシア奏法」ということで、ラフマニノフとスクリヤビンの楽譜を用意して出かけましたが、実際には使いませんでした。奏法は「ロシア」でも、作曲家の出身地は関係がなかったのです(当然ですが)。


たまたまピアノの不調で、低いミのキーが使えないことがわかったので、ホ調の曲は避け、自分としては比較的よく把握しているつもりの「楽興の時」と「ノクターンOp.15-1」を弾くことにし、当該キーの音は触らないつもりでした。

ところが、いざピアノに向かうと、フルコンの圧力に負けて、スピードが出過ぎて、コントロールができなくなり、ノクターンでは和声を忘れて停止してしまいました。これまで(少なくともこの作品では)こんなことは、考えられないことでした。

しかし、他の方の演奏を聴くうち、これまでの自分がとても狭いところで(住まいもそうですが)考えていたことがわかり、少しずつ別の観点で楽しむようになりました。

たとえ、演奏が途中で止まったとしても、間違えた音があったとしても、ひとつひとつの音を大事にし、自分の思っている響きを求める。ペダルを踏み変えて音色を変え、作曲家の意思に少しでも近付こうとする。そういう姿勢が、自分にはなかったことでした。

雨が降っているのに、「自分に傘はいらない」と強引に出かけて本降りとなり、濡れて帰宅しましたが、すぐにピアノに向かいました。楽しい一日だったと思います。

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