「少年である僕がいるとする。

僕は両親が押しつけてくる価値観や物の考え方に閉じ込められている。

ある日ふらっとやってきて、両親の価値観に風穴を開けてくれる存在、

それがおじさん」

 

伊丹十三監督のこの言葉から始まる本

 

「パリのすてきなおじさん」

 

価値観とは何か、

自分らしく生きるとは何か

 

そんなことも伝えてくれるすてきな本から、

少し内容をご紹介しようと思います。

 

 

著者がパリで出会った様々なおじさんたちの

人生のたくさんのドラマ。

 

「食べるためにピアノを弾き

悲しみを癒すために絵を描く」おじさん。

こんな言葉を言ってみたい(笑)。

 

「この生き方を選んだ以上、

金儲けは考えない。」

と、自分の好きな道を自分らしく歩き続ける小劇場の役者のおじさん。

 

 

「2分考えれば済むことを、みんな大げさに考えすぎだよ」

とさらっと言ってのけるおじさん。

人生はシンプルに考える。

人生には予想外のことが起きる。

だからこそ考えすぎず、シンプルに。

 

 

「ほとんどの問題は、他者を尊重しないから起こる。」

という「フランスのイスラム教徒」のおじさん。

イスラム教と、イスラム主義は違う。

「本来ムハンマドは、みんなが共存するために生まれたんだよ」

そう言って、他の考え方を尊重しない「主義者」を憂う。

言葉の重みが、違う。

 

NGOで難民を支援しているおじさんからの言葉は

「世界は救えない。ただ、ひとりの人に向き合うだけ」

私たちにはそれしかできない。

でもそれが大事。

 

通りがかりの書店で出会ったおじさんの言葉は

「大事なのは将来ではない。いまですよ」

ベトナム戦争とその余波の中で、

多くの死をみてきたおじさんだからこその言葉です。

「いま、この瞬間に大事なものをちゃんと愛すること」

 

どのおじさんも、

自分のことをよく知り、

自分らしく幸せに生きる方法を知っている。

 

 

不登校にしても、

人生の岐路でもそうですが、

最初に書いた

「価値観に風穴を開けてくれる」

存在に出会うことはとても大切です。

 

そんな存在に出会えると

今まで自分の周りを囲っていた

固定観念や常識という檻から

自分を解き放ってくれるから。

 

それは、パリのおじさんのような人かもしれないし

本やドラマの世界の人かもしれない。

 

私にとっては

不登校の子どもたちはそんな存在です。

 

親の価値観はあくまでも親のものであり

自分とは別の人間である以上

子どもの価値観はまた別のもの。

同じであるとは限らないのです。

違うからこそ

多様な価値観を知ることができるのです。

 

 

シンプルに考えれば

大切なことは

本当に大切なことは何なのか

自ずと見えてくるのだと思います。