「努力を積み重ねれば平凡は非凡に変わる」

遺伝子の第一人者である筑波大学名誉教授の村上和雄先生によれば、極限状態で発揮される人間の力は火事場の「バカ」力を発揮する。そしてその潜在力を常にONにするためには、プラス発想や積極思考など前向きの精神状態や心を持ち方が大きく作用している。つまり「思ったことはかなえられる」能力が私たちの中には潜在しているのです。
 短兵急(急いで行動する)をめざしても、まず今日一日を生きないことには明日は訪れません。かくありたいとい思い描いた地点まで一瀉千里(いっしゃせんり/物事がスムーズに進むこと)に行く道などないのです。千里の道も一歩からでどんな大きな夢も一歩一歩、一日一日の積み重ねの果てに、やっと成就するものです。
 そうして今日一日をないがしろにせず、懸命、真剣に生きていけば、明日は自然に見えてきます。その明日をまた懸命に生きれば一週間が見えてくる。その一週間を懸命に生きれば一か月が見えてくる。つまりことさら先を見ようとしなくても、いまという瞬間々に全力を傾斜して生きることによって、そのとき見えなかった未来の姿がやがて自然に見えるようになってくるものです。


 私自身もまさに、そういう亀のような歩みでした。一日の集積と継続によって、いつしか会社も大きくなり、私は現在の位置にまで到達させたのです。ですからいたずらに明日をすごしたり、将来の見通しを立てることに汲々とするよりも、まずは今日一日を充実させることに力を注いだほうがいい。それが結局、夢を現実のものとする最前の道なのです。
 様々な職業に身をおく人々にとっても同じことである。しかしいずれにしろ現場は労働集約性であり、例えば、飲食店の現場は、「フードサービス」という心地よい響きと反して現場で働くスタッフの労力は意外と体に苦痛を与える仕事であろう。勿論外食で仕事をする人たちは、人と接することや自分の調理した料理を食べて喜んでもらえることが仕事の生き甲斐になっていることも多いはずである。
しかし自分の目標への道標や仕事へのモラルを失ってしまうとなかなか日々の努力が報われないことも致し方ない。そんなに人生はうまく行くものではない。でも努力が信じられないほどに報われることも現実にあることだ。
 さらに自分が選んだ仕事の道で将来の最終目標に向かって努力してこそ、その苦労が大きく報われるのもこの業界の面白さでもあるだろう。トップマネージメントに携わる人や店を管理する人、また現場を管理するスタッフなど立場は異なるものの、各人々は自分の目標や目指すべき目標を持っていることが常であるはずだ。勿論、仕事がうまくいかないことや自己失墜に陥ることもあるかもしれない。
 しかしいつまでもその挫折や不安に悩まされても先に進むことはないだろう。むしろその挫折や仕事の悩みは、自分自身との葛藤から抜け出すことで常に仕事はプラス発想へ転嫁していくことが重要だろう。
 何故に売上が伸びないとか、現場のスタッフ同士のコミュニケーションがうまく合わないなど一つ一つ小さいことも大きなこともすべて大切であり、その問題と真っ向から向き合ってこそ、解決策や新しい発想が創造できるようになってくる。
 だから常に自分にとっての努力を惜しんではならない。むしろ率先し難しい仕事へ立ち向かっていく努力を日々重ねる努力を忘れてはならない。人は自分の努力に対して早く成果を求めるものであるが、努力を積み重ねた後には必夢が現実に変わることを信じて仕事に取り組む姿勢を持つことを忘れないことである。