京セラKDDI設立。新時代経営リーダー稲盛和夫の経営哲学生き方に学ぶ/外食業界に生きる人間として

dailys cafe magazine/2 76

「毎日の創意工夫が大きな飛躍を生み出す」
私があまり才子を買わないのは、才子というのは往々にして、今日をおろそかにする傾向がアルからです。才子はその才子ゆえになまじ先が見えるから、つい今日一日をじつくり生きる亀の歩みをいとい、脱兎(だっと)のごとく最短距離を行こうとする。しかし功を焦るあまり、思わぬところで足をとられることも、また少なくありません。

京セラにもこれまで、優秀で利発な人間がたくさん入社してきましたが、そういう人に限って、この会社には将来がないと辞めていく。残っているのは転職する才能もない人材になる。しかしその鈍の利のない人材が10年後、20年後各部署の幹部リーダーになっていく。


彼らのような平凡な人材を非凡に変えたものは何か。一つのことを飽きずに黙々と努める力、いわば今日一日を懸命に生きる力です。またその一日を積み重ねていく継続の力です。すなわち継続が平凡を非凡に変えたのです。安易に近道をせず、一歩一歩、一日一日を懸命、真剣、地道に積み重ねていく。夢を現実に変え、思いを成就させるのは、そういう非凡なる凡人なのです。


ただし、継続が大切だといっても、それが「同じことをくり返す」ことであってはなりません。継続と反復は違います。昨日と同じことを漠然とくり返すのではなく、今日よりは明日よりは明後日と、少しずつでいいから、かならず改良や改善をつけて加えていくこと。そうした「創意工夫する心」が成功へ近づくスピードを加速させるのです。


私は技術者であるためいつも自分に投げかけることを習い性としてきましたるそういう目で見れば、雑用ひとつとっても、そこに工夫の余地は無数にあるものです。昨日の努力に少しの工夫と改良を上乗せして、今日は昨日よりもわずかながらでも前進する。そのよりよくしようという姿勢を怠らないことが、のちに大きな差となって表れてくる。けっして通い慣れた同じ道はとうらないことが、成功に近づく秘訣なのです。


外食業界の仕事も人を介したサービスを提供することによって成り立つビジネスであるため、日々の努力こそ、成果を生み出すための一歩であることには変わらないことだ。勿論、仕事には目標、どのように目標を現実の結果に結び付けるためのプロセスや経過内容を具体化しなければ成果に結び付かないように、仕事の創意工夫やアイデアを創出することは必須条件になるだろう。
外食企業の場合には、トップを頂点として中間、現場という組織形体なっているため、トップの采配や戦略の方向性を誤れば、成果を達成できないことにも成りかねない。しかしその売上という目標を達成できない結果は、現場である店長責任になることが多く、現場で努力を継続的に重ねていれば、必ず報われる場合とその他の条件でその努力が報われない場合も多々あることだ。


しかしその現実に愚痴をいっても仕事は先には進まないし目標を達成させるための一歩にはつながらない。トップ、中間管理職に関わらず、自分の責任を他人の努力不足という判断を乾多難にすることや責任転嫁することもあるだろう。そんなことに自分の心を振り回されてはならない。

自分の仕事に対する自覚と目標に対する日々の努力を一歩一歩、地道に努力すること、日々創意工夫すればその努力はやがて成果を生み出す、努力は報われると思うことを忘れてはならない。そのための努力方法は、自分自身で考えて努力、創意工夫し努力を継続化させていくことが成果を生み出すこと。

つまり人の心はもろく意思が強くない人は仕事に挫折してしまう人もいるが、決して地道な努力継続は自分を裏切らないことを肝に銘じておこう。