柳生野里子です。



子供たちの習い事の待ち時間に、カフェでひとりティータイムをするのが最近の癒しです。



今年に入ってから、人生で初めて家出をしようと思った瞬間がありました。



自分の子供時代を思い返しても、一度も浮かぶことのなかった「家出」。



ましてや、子をもつ母親である自分が家出を考えるなんて、ね。それでも、うちの子たちは私がいなくてもきっとやっていける。大丈夫だから。とまで考えていました。



結局、どこか冷静な自分もいて行動には移さなかったのですが、家出をしたいと思うくらい受け止め切れない悲しみがあったことは事実です。



“悲しみ”は私の感情なので、私の捉え方の問題です。誰かのせいではありません。誰も私のことを悲しませようとしていた訳ではないからです。



どこまでいっても私自身の問題なんですよね。



なーんて、すごく重たいテーマになっていますが、自分の中で整理がついてきたこともあり、自分のためにここに書いています。



義理の両親、夫、子供たちと3世代で同居している現在の住まいは、今は亡き義理の祖父母が建てた家です。



夫と結婚してから6年間は義理の両親とは別居でしたが、義理の両親の家をリフォームして同居を始めました。



私は若い頃に建築関係の仕事に就いていたことがあり、「自分の家」に対して強い憧れと理想を持っていました。だからマンション住まいの頃から、いつかは戸建ての家を建てたいという思いがあったんです。



しかし家族の形が変わる中で、色々考えて折り合いをつけた結果、リフォームと同居を選ぶことにしました。



リフォームは予算オーバーの工事になりましたが、夫がリフォームに関する私の希望を全て叶えてくれました。



新築の家ではないけれど、その分設備や内装にこだわることができ、私が思い描いた理想の暮らしが実現しました。私はしあわせでした。



その家を出たいと思った。

自分でも衝撃的な感情でした。



家出が未遂に終わり鬱々と時間をやり過ごす中、何となく開いたSNSで外国の素敵な螺旋階段の写真を目にしました。あんまり素敵だったのでスクショして画像を保存しました。



そこから火が点いたように、私は素敵な家の写真を検索しては保存を繰り返し、しまいには家の図面まで描き始めたんです。



それは夢中で、1時間が5分に感じられるくらいの集中力で、自分の中から湧き出してくるアイディアを図面に落とし込んでいきました。





何パターン考えたか分かりません。

こんなことしたって何にもならないし、現実に家を建てられる訳でもないのに、描かずにはいられなかった。子供たちもそんな私を見て半分呆れていました。



他にやるべきことはたくさんありました。でも、私は図面を描きたかった。今は自分に描かせてあげたいと時間を見つけては鉛筆を握りました。





そして、そのときは来ました。



気が済んだんです。



理想の家の間取りを夫にプレゼンしていた私は、楽しそうだったと思います。好きなことなのでね。夫もそうかそうかと、そのプランはいいねと、優しく受け止め続けてくれたので本当に救われました。



妻が死んだように無表情でいるより、今、楽しいと思えることがあるなら、それをしている方がいいと思ってくれていたかもしれません。





気持ちが落ち着くとともに、私に違った思いが湧いてきました。色々な間取りを考えるのですが、考えれば考えるほど、今の家の間取りが完璧だと思えたのです。



かつて、インテリアコーディネーターさんの知恵を借りながら自分で考えたリフォームプランが、今の快適な生活と家族のしあわせに繋がっていると再認識できたのです。



そして、建ててから何度リフォームを繰り返しても平気な、この頑丈なお家を立ててくれた天国の義理の祖父母に感謝の気持ちが湧いてきました。



夫のおっかけ(応援団長)だったという夫の祖父は、きっと、可愛くて仕方ない孫たちの代まで住めるようにとこの家を建ててくれたんじゃないかな。



こうして今、家族が一緒に住んでいることを義祖母も天国で喜んでいてくれるかもしれないなと思えてきたのです。



ご先祖様が残してくれたこのお家を大切にしたいと心から思いました。それからは一箇所ずつ、お部屋の片付けと掃除を丁寧にしていきました。



そして、本当に気が済みました。



悲しみが深く心が傷ついているときは、どうしたって視野が狭くなります。自分を守ることに必死で、これ以上傷つかないように、他人を責めたくなってしまいます。



そんなときは自分が受けているあらゆる恩恵を忘れてしまっているかもしれませんね。当たり前と思ったら感謝することはできません。



今回の出来事で、またひとつ自分のことが分かりました。自分自身の課題も見つかりました。自分がどんな風に生きていきたいか、より具体的になったと思います。



ついつい自分の力で生きていると勘違いしてしまうことがあります。そんなことはないですね。家族はもちろん、社会のたくさんの数えきれない人に助けられて、今の私の日常があります。



もちつもたれつ、お互い様で、生活をしていけたらいいなと思います。この愛すべきお家と家族と。そしてこれを読んでくれているあなたと。



いつもありがとうございます。

私は私のできることを一生懸命していきますね。