信一はとてもうれしかった。友永が自分の仕事を手伝ってくれる。これなら安心して今回の仕事をやることができる。
「友永さん、ありがとうございます。なんだかやれる気がしてきました。これこそが本当の意味の鬼に金棒です」
「えっ、どういうことだよ?」
「自分の実力を発揮するには、こうした先輩の後ろ盾があってこそできることだってあらためて気づきました。今まで生意気なことばかり言ってしまって、本当にすいませんでした」
「いいんだよ。それにしても俺が金棒か?俺を振り回すことができるようになるくらい、しっかりと成長してくれよ」
「はい、わかりました」
信一は悟りを開いた修行僧のような眼差しをしている。これなら大丈夫だろうと友永は察した。
「それにしても、ここのコーヒーはすごいですね。こうやって自分が今必要としているものを気づかせてくれるなんて」
信一のその言葉に、一同がうなずいた。するとマスターがニコニコ顔でやってきた。
「皆さんのお話、聞いていました。私にとってのこのコーヒー、シェリー・ブレンドはまさに鬼に金棒です。そしてもう一つ、この店員ののりちゃんも私の金棒ですよ。彼女がいなければ、このお店は成り立ちませんからね」
〜おしらせ〜
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