すると結城がサングラスをとって信一の方を向いた。
「香坂さん、私からもお願いします。ぜひうちの仕事、やってください」
態度が急変した結城に、信一は驚いた。しかも結城、サングラスを外すとさっきまでの印象とはガラリと変わり、非常に真面目な人物に様変わりしていた。
「友永さん、もうそろそろいいですか?さすがにこの演技は疲れますよ」
「え、演技?」
結城の言葉に驚く信一。
「信一、ごめんごめん。実はこちらの結城さん、普段は真面目な建築会社の専務さんなんだよ。今回はちょっとその筋の人って感じで演技をしてもらっていたんだ」
「ど、どうしてそんなことを?」
「信一、お前は人によって態度を変える悪い癖があるだろう。自分より下だと思った人には強気でいくけれど、自分よりも上だと感じたら急に気弱になってしまう。違うかな?」
そう言われて信一は黙り込んでしまった。
「だから会社の中では、社長の甥という立場で社長の次に会社の中で偉い人物になりきっていた。けれど本当は自分の実力に自信がなかった。虎の威を借る狐ってわけだ」
「…はい」
「今回、そんなお前にちょっとお灸を据えてやろうと思ってな。ちなみにこのことは社長も了承済みだ」
〜おしらせ〜
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