「きたきた、ここのコーヒーはちょっと変わった味がするんですよ。ぜひ味わってください」
友永はそう言って結城にコーヒーを勧める。このとき、横目でちらりと信一の方を見る。まだビクついて固まったままだ。
結城は豪快に、まだ熱々のコーヒーを喉に流し込む。
「ん、なんだこの味?」
「どんな味がしましたか?」
友永は興味深そうに結城に味の感想を聞いてみる。
「おい、ねぇちゃん、このコーヒーって最初から砂糖とか入ってるのか?」
「いえ、入れておりませんよ」
「へぇ、なのにほんのり甘く感じたんだよなぁ。いや、甘いというよりもほんわかしているっていうか…そんな香りがするんだよ」
サングラスをしているにもかかわらず、結城の目尻が垂れて笑顔になっているのを感じられる。
「その甘さというか香りからなにか連想するものってありますか?」
これはのりこが尋ねる。すると結城はさっきまでの強面の口調とはまったく異なる感じで話し始めた。
「いやぁ、これってうちの娘を思い出すんだよなぁ。うちの子、まだ生まれて半年なんだよ。オレってもうこの年令だろ。歳くってできた子だから、かわいくて仕方ねぇんだよ。あー、早く家に帰って愛ちゃんと遊びてぇなぁ」
〜おしらせ〜
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