「じゃぁ、今俺が感じた感覚ってのが、俺が望んでいることなんですよね。そうか、やっぱりそうか…」
「やっぱりそうかって、どういうこと?」
「怒らないで聞いてくれる?」
「だから、何よ?」
怒らないでって言われると、逆に怒りたくなるのが心情だ。私にとってあまりよろしくないことを話そうとしているってのがわかる。
「俺、明穂のことがわからなくなってきたんだ。言葉では『いいよ』って言っても、表情や態度がそうじゃないって思い始めて。で、どっちが明穂の本音なのかってのがよくわからなくて」
そういうこと?じゃぁこの際だから思い切って言わせてもらおう。
「逆に、私はどうして私の気持ちをわかってくれないのかなって、いつも思ってた。私が好き好んでゲームセンターに行っていると思う?慎二に付き合って行っているけど、あなたがゲームをしている間、私は退屈でしょうがないのよ」
「そういうの、どうしてもっと早く言ってくれないの?俺は明穂がゲームをしている俺を応援してくれていると思っていたから、一生懸命ヤツとバトルしてたのに」
「じゃぁ、バトルしていたのは私のためだったってこと?」
慎二はコクリとうなずいた。これには呆れてしまった。