第88話 これもまた、運命 その27 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 佐原さん、ちょっと興奮しているな。どうやら店主さん、早速カフェシェリーに足を運んで何かに気づいたようだ。 

 

「佐原さん、お義父さんに何か変化があったのですか?」 

 

「あったもなにも、私にとっては大迷惑ですよ。昨日ふらりと出かけたかと思ったら、帰ってくるなり『今までのやり方ではダメだ、まずは接客をしっかりとやっていくぞ』なんて言い出したんですから」 

 

「いいことじゃないですか」 

 

「冗談じゃありませんよ。店番をやっている私の身にもなってください。せっかくお気楽に座っていればアルバイト代がもらえたのに。お義父さんのケーキは味はいいって評判だから、それでやってくるお客さんばかりだったのに」 

 

「だったら、なおさら接客サービスがうまくいけば、お店は繁盛するじゃないか」 

 

「でも、それだと私はどうなるんですか?」 

 

「佐原さん、あなたはお義父さんのお店が繁盛するのが嫌なのですか?」 

 

「嫌って、そんなことはないですけど。でも、私の居場所がなくなってしまう…」 

 

 なるほど、これでわかった。佐原さんは自分の心地よい居場所がなくなるのを嫌っていたんだ。それでこの営業所も、私が面倒なことをやりはじめたのに対して、猛反発をしてきたのか。