「お昼ごはん、一緒にどうかなって思って」
間違いなく私を誘ってくれている。夢ではないだろうか?
ほっぺたをつねろうかとも思ったが、さすがにそこまではしない。これは間違いなく現実なのだから。
「は、はい。ぜ、ぜひご一緒にっ」
声が裏返ってしまった。それを見て笑う白崎さん。ちょっと恥ずかしかったけれど、それ以上に有頂天になってしまう自分がいた。まさに天国だ。
それから白崎さんが先導して、和食屋さんへと足を運ぶ。だが、ここで天国から地獄に落とされる事態に。
「あれ、白崎さん」
お店に入った時にそう声をかける人が。なんと同じ部署の男性社員が二名もそこにいるではないか。この連中が、白崎さんと仲良さそうに話しているところを見て、私に対して乱暴でそっけない態度をとったやつらだ。
「えっ、なんで皆藤さんもいるの?」
私の姿を見て驚く二人。今度こそまた何か言われるに違いない。きっと私に対して嫉妬心を抱くはずだ。
そう思うと、さっきまでのあの天にも登る気分はどこかへ吹き飛んでしまった。それよりも、来週からどうしようという不安が襲ってくる。
このとき、ふとあの言葉を思い出した。カフェ・シェリーの看板のあの言葉。