(ネタバレほぼなし)

 

町山智浩せんせが「今年度暫定ベスト」と熱く語っていたので、今日は「さがす」記念日。

 

ただ鑑賞後が~という感想が多いようなので、少し怖じ気づきながら上映最終日にシネリーブルに。


冒頭で誰もが知るリストの旋律をバックに、佐藤二朗がスローで一人ハンマーを振り続ける映像に、監督「片山慎三」のただならぬ才能がすぐ分かる。

あらためて話題作「岬の兄妹」を見逃したのが痛恨・・・(某師匠、ごめんなさい!)

 

で怖い映画かと言うと、いや~ぜんぜん大丈夫! あ~新今宮だ西成だ、

大阪どディープの雰囲気は映像でもやっぱりわくわく、いいなあ~、

ダメお父ちゃんを画に描いた佐藤二朗に、しっかり者でひょうきんな娘さんの掛け合いは

じゃりン子ちえだ、「大阪物語」だ、

「ヨシヒコ」シリーズの大ファンとしては、「ホトケ」の演技見てるだけで笑いがこみ上げる、

楽しいたのしい!

 

からの~、息を飲む展開ですよ。

 

ネタバレはしませんが、あああの事件とこの事件と、そしてこの事件を下敷きの脚本か、

これはすごい、けどつい業務ネタとしてメモってしまいそう(だからなんの業務だよ?)

 

最後の最後まで油断させない展開は、もう絶賛しかない。

 

今年ベストになるかどうかは留保するとして、とりあえず主演女優賞は制服をきたじゃりン子・伊東蒼、助演賞は少し森山未來君を思わせる”得体しれない男優”・清水尋也、

脚本賞は、もう「暫定」とっちゃって、監督と共同の2人に決定! でしょう。

 

痛グロいシーンが苦手で途中ひいひい言いながら、

でも映画館でる時は一人さわやかに満足の笑みを浮かべていた私も

ひょっとしてサイコパスでしょうか? (いや、そんなはずはない)

・・・そんな「CODA」の「バークリー/バークレ―」ショックも冷めやらぬ翌日に、この作品。

(※バークリー音楽大学は出てきません。)

でも本作監督のフレデリック・「賢人」・ワイズマンの「大学」の舞台は、バークレー校の方でした(過去ブログ参照)。

 

町山智浩せんせその他の強烈押し、ドキュメンタリー映画界の生ける化石、もといレジェンドの

遺作、もとい最新作!

堂々の274分、休憩入れてなんと5時間!!

しかも神よ俺にひれ伏せ、まったく寝なかったぞ!!!

(久しぶりだな、おい)

 

相変わらずのショットの正確さ、編集のテンポの良さ、そして人々の営みと語りに徹底的に寄りそう優しさと倫理性。

賢人版「あなたはなぜ市長をやめちゃったの?」と言いたくなる、ウォルシュ前市長への密着が主だが、

(BS朝日「町山智浩のアメリカを知るTV」によると、どうやら同じくリベラル派らしい「台湾系女性」が後継市長で、安心)

私のお薦めシーンは二つ、一つはイラク帰還兵の青年が退役軍人の伯父さん(だったか)の旧式の銃を手に、

隣の家の陰険ジジイといかにして心打ち解けたか、そしてその銃に元軍役のサインをもらい続ける旅を始めたか、とつとつと語るシーン。

はっきり言って「CODA」より泣けました。

 

もう一つは、映画も最後の方、ボストンの中でも貧困地区らしい場所に「スモーク・ショップ」、

つまりマリファナ販売店を作ろうとする中国系の経営者と、住民たちのヒートアップした公聴会の様子。

全米各州で続々と娯楽用大麻が合法化されている報道を、好感をもって見ていたのだが、

そうかあ、そりゃ近隣住民からしたら治安の悪化は心配だよなあ。

てか、自分も参加してヒートアップしたとある商店街のマンション建設の説明会をつい思い出して、

おい、神戸市役所の役人、今これ見てるか! と座席を振り返りたくなった。

(なんと平日午後に30人前後も客入っていて、これは嬉しかった。)

 

町山さんも感動してたラストの市長の退任挨拶、「市民が分断した街は栄えません」、うんうん

ネト〇ヨどもに何百回も聴かせてやりたい名スピーチ(奴らは見ないだろうけど)。

そのスピーチの前は、やっぱりバグパイプ演奏、そうなのかアメリカ人、

というか好きなのね、ワイズマン監督(※過去ブログ「州議会」参照)。

 

正直、時計が気になる時間もあるけど、そしてちょっと監督の年齢も感じたりしたけど、

見て良かった5時間でした。

(でも元町映画館さん、2800円の料金設定は、ちょっと考えてね。)

 

(2022.2.3)

(ネタバレほぼなし)

 

平日朝のNHK-BS「キャッチ!世界のニュース」で月一、東大教授の藤原帰一(国際政治学)が映画を紹介するコーナー(「映画で見る世界」)で、「難しいこと考えずに感動できる」と絶賛の作品。

それを受けた女性アナも「号泣しました、今年の嫌なこと全部洗い流しました」、てな作品を遅ればせ年明けに。

 

号泣、はしなかったけど2か所ほど、聴覚障がいの家族と主人公の、歌を介したやり取りにうるっとなる瞬間が。

 

それはさておき、本作で一番愕然(がくぜん)としたこと。

「バークリー音楽大学」って、マサチューセッツ州ボストンにあったんだ!!!

今日の今日まで、「カリフォルニア大学バークレー校」のあのバークレー、陽光さんさんのウェストコーストにあると思い込んでたぞ、

だ、だましたな!!(誰もだましてない)

 

Wikiさんによると、カリフォルニアの Berkeley は地名だが、ボストンの方の Berklee は創設者の息子(Lee Berk)から取ったもの、

しかもややこしいことに、カリフォルニアの方は日本で通常「バークレー校」と呼んでるが、正確な発音は「バークリー」に近い、と。

な、お前らもだまされてただろ?(誰もだましてない)

 

しかも(ちょっとだけネタバレ)、クライマックスで「バークリー」で歌われる「青春の光と影(Both Sides, Now)」の作者は

言わずもがなの西海岸音楽聖人の一人・ジョニ・ミッチェル大僧正、きっと1970年前後に学園紛争が吹き荒れた「バークレー」にもご縁があるはず。

ああ、いちご白書よもう一度。

 

それはともかく主演の女の子の歌声は本当に心揺さぶられるし、ドラマの核になる聴覚障がい者+健聴者の家族の難しさは、

頭では分かってはいたが、あらためて胸に迫る。

 

とあと一点、藤原先生、これフランス映画のリメイクだってこと一言いっておいてよ。

元作は見てないけど、けっこう笑える下ネタ満載の(だから年齢制限)、心洗われる佳作でした。

 

(2022.2.2)