ニンゲンの社会では、オウゴンがはじまった。
みんな仕事を休んで、どこかに遊びに行くんだって。
例によってお気楽に生きている我輩は、年じゅう
オウゴンみたいなもんだ。
この町もオウゴンがはじまって、心なしか静かな
気がする。今日はお客さんも少ない。
久しぶりにマスターは自分で淹れた珈琲を
タバコを燻らせながら、味わっている。
二人分淹れた珈琲のもう一杯は奥さんに渡して。
こんな日のお店も悪くない。
あれっ、でも珈琲を飲み終った奥さんは厨房で
忙しそうにしているよ。
ケーキを作るための小麦粉を振るい始めた。
たまごやお砂糖も混ぜてオーブンにいれると
いいニオイがしてきた。
すると、今度は奥さんはコンロの上の大きな鍋を
混ぜている。
野菜たっぷりのブタ汁は、マスターの大好物だ。
ケーキを客さんのため、ブタ汁はマスターのため。
町とお店は静かだけど、奥さんのオウゴンは忙しいね。