諜報部員と秘密工作員。
疑心暗鬼に執着心……。
人の心の奥に潜む闇のようなものを生活レベルでも感じ取れるように描かれているように思います。
ま、羨望的欲求は渇望的自己顕示へと、次第に歪みながらその姿を変えていくような気がします。
よく思われたい、という気持ちは、多かれ少なかれ誰にもあるはず……。
でも、その度合いに比例するように、葛藤が心を重く支配していくのではないですかね。
人の目を気にすることをやめると、一気に視界が開けてきます。
気持ちもずいぶんと軽くなります。
どう思われたいか、ではなく、どうしたいか……。
仕事も趣味も同じ。
また、恋愛についても同じように思います。
相手におもねることをやめると実像が見えてきます。
そんなようなことを、amazonプライムで、お盆休みあたりからずっと観ている『ホームランド』について思いました。
遅々として進まない、誰に編まれているのかわからない現実……。
苛立ちと焦り。
冷静さを装えば装うほど、判断が鈍っていく……。
正義という範疇の大きさに打ちのめされるような感覚……。
ま、ね。
私たちが生活していく上で、正しいことと思っていることが、対岸から見ればそうでないこともしばしば……。
生かされている、という思いは、つねに受動的で寛容的。
能動的ではあっても、決して攻撃的な姿勢は生まれません。
でも、私自身、そんなふうに思えるようになったのは結婚してから……。
まだまだ未熟な自分に苦笑いです。
ただ、未熟なぶんだけ、形はいかようにも変えられるのも事実。
半熟卵の黄身のように、わずかな遊びは持っていたいものです。
若い時の勢いは、年を追うごとに失われていくものです。
その代わりに円熟した味わいを手に入れていきます。
そんな手本のような演奏を聴かせてくれる渡辺貞夫さん。
今聴いても熱くなりますね。
1961年発表のデビュー・アルバムです。


