契約書のない取り決めほど、不確実で悩ましいものはないですね。
浜田省吾さんも、歌の中で歌っています。
――
過ぎた日々の 彼との想い出を話してる
窓の外を見つめて
“愛は はかなく 契約なんてないのよ”と 笑いながら
――
誰でも安心していたいもの。
精神的なつらさは、身体のいたるところへと波及していきます。
人との関係性ほど脆弱で危険を孕んでいるものです。
昨夜、久し振りにエアロスミスを聴いていて、ふとそんなことを思いました。
リアルタイムで買ったレコード。
高校生だったように思います。
『美獣乱舞』。
当時、評論家から酷評されたものです。
衝突による流動的なメンバーによる新譜。
ま、ペンを持つ彼らの持ち味は独断と偏見。
それで、米を買うのですから、当たり前と言えば当たり前です。
でも、当時の私にすれば、『ロックス』よりも完成度が高く、何度もターンテーブルに載せていた気がします。
好みも影響しているのかもしれません。
『クライ・ミー・ア・リバー』を煽情的にカバーしています。
ミュージシャンの意見の相違による分裂は、当時からよく耳にしたものです。
自我と妥協のバランス……。
初めの頃には、お互いさまの精神があったはず……。
お前がいるから俺がいる的な……。
俺がいるからお前がいる的な考えが、時間の経過に伴って煮詰まっていくのでしょう。
傲りという思い上がりは、すべての景色をつまらなくしてしまうのではないですかね。
歴史でも教えてくれています。
天下布武を象徴する絢爛豪華な安土城。
天下目前にして、ひたひたと忍び寄ってくるのは憎悪と遺恨の影……。
ま、ね。
そうやって、歴史を振り返るだけでもわかりますが、傲りはいい結果を招きません。
自分がエライと思えば、必然的に相手を見下してしまうもの。
ま、よくはなりませんはな、それでは……。
リスペクトを払いつつ、意見の相違を述べるのは建設的。
ま、感情は、どうしたって手はつけられないもののひとつではありますが……。
ま、そのあたりは、マイルス・デイヴィスとセロニアス・モンクの1954年のセッションにも見て取れます。
そうありたいと思いますが、これも難しい問題なのでしょうね。
ホホホ……。


