今日は、打って変わっての晴天です。

今年の梅雨は、いつもとは一味違う様相を呈しています。

豪雨災害のニュースが飛び込んでこないことは――現状において――ある意味唯一の救いなのかもしれません。

 

少し前、CMを見ていて感心したことがあります。

少し照れながらも表情を変えて音楽に合わせて宣伝している女の子。

次から次へと、センスのいい感じの若い子が出てくるものだ、と。

 

すると、家内が

『それは、広瀬すずやで』、と。

 

まったくもって気づかなかった自分に苦笑いです。

少し雰囲気が違うだけで、既知の認識さえ払拭してしまいます。

 

昨日娘が、ドロップという機能を使って、このCMを私のケータイに入れてくれました。

CMと言えば、高校生の頃に見たものが、今でもしっかり脳裏に焼き付いています。

大人になったら絶対に手に入れてやる! と思ったほどの強烈な印象を私に与えました。

それは、父親が娘にプレゼントを買って帰ってきて、その後破損。

でも、アメックスは大丈夫、みたいなCMです。

バックに流れていたのは、ジェーン・バーキンの『コワ』。

静かに時を刻みます。

たまらなく憧れました。

アメックスのゴールドカード。

これは、今でも小さな私の誇りです。

プラチナではなく、ゴールドでなければ意味さえ持たないほど。

もうひとつのお気に入りのCMは、銀座ジュエリー・マキのもの。

もしくは、銀座ジュワイヨクチュール・マキでしたかね。

柳ジョージの『コインランドリー・ブルース』が切なく流れます。

エグゼクティブな大人の雰囲気を思い浮かべては、何度もレコードをターンテーブルに載せたものです。

 

大人への憧れが強く、バブルという背景も手伝って、思いっきり背伸びをしつつ、自分が描く大人への階段を駆け上がっていったように思います。

今思うと、実際には、ぐずぐずと崩れ落ちていく砂の上で、ただもがいていただけのような気がしないでもないですが……。

 

夜の晴海ふ頭。

観光船が係留されている護岸の手すりに二人寄り掛かり、沖に浮かぶ工事中の高速に、ぼんやりと未来を重ねるように眺めていたのは、もうずいぶん前のこと。

今思えば、思いがけないことの連なりのようなもの。

でも、それらはすべて潜在的に横たわっていたのかもしれません。

 

バイクや車、ウィンドサーフィンも同じです。

望む方向に目を向けるだけで、無意識に進路を変えていきます。

――

明るい方へ
明るい方へ。

 

一つの葉でも
陽の洩るとこへ。

 

薮かげの草は。

 

明るい方へ
明るい方へ。

 

翅は焦げよと
灯(ひ)のあるとこへ。

 

夜飛ぶ虫は。

 

明るい方へ
明るい方へ。

 

一分もひろく
日の射すとこへ。

 

都会に住む子等は。

――

 

金子みすゞの『明るい方』。

そんなふうに、これからもずっと前を向いていたいものです。